[携帯モード] [URL送信]
05(終)









──愛しているのです。









「──ああああああああ!!!!」


がきぃん、と金属同士がぶつかり合う独特の音が響き、シンは驚きを露にした。
自分の得物と激しく噛み合っている、炎を彷彿とさせる鮮やかな紅の長剣に。


(神器!?)


伝説上に存在されると言われている武器が、目の前にある。
神器──それは、混沌の時代より神が世界の創造に成功した時に、自然界の一切の事象を物質化したものだとシンのいる教団内では伝えられている。
そしてそれが、今日に存在する自然物の元となっているのだ。
世間では神話然とした話ではあるが、事実教団の地下に幾つかの神器は安置されている。

どうしてこの女が──そう思った矢先、不意に周囲の大気が張り詰めたのをシンは感じた。


「……っなんだよ、おい…!」


優の神器とシンの剣が噛み合った箇所から、真っ白い光が生じている。
その原因を悟り青ざめたシンは、どくん、と大きく脈打った鼓動に思わず呻いた。


「………やべぇ…!」


最悪の事態を想定し、シンは恐慌状態でこの事態に気付いていない優の腕を強く掴んだ。
噛み合った部分から生ずる光は次第に強くなり、路地を真っ白に染め上げていく。

ともすれば塗り潰されそうになる意識を必死に保ちながら、シンは優の体を抱き寄せ、離れ離れにならぬようしっかりと抱き留めたまま強く目を閉じた──。









to be continued...


[*前へ]

5/5ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!