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06


そして、続いて飛び出してきた言葉は優の顔色を一瞬にして蒼白させた。








「──優が女神だからだ!女神を守るのは俺達異端審問官の義務だ!それ以外に守る理由なんてねぇんだよ!」










色を失くして優はただただ立ち尽くした。

アナスタシアも同様に声を失い、シンはハッとして顔を上げたが時既に遅し。メイファは相変わらず不思議そうに皆の顔を見遣っている。

そんな空気を切り裂いたのは──優の渇いた笑い声だった。


「…あ…っ──あははは!やだなぁ、それくらい分かってるって!そんな分かりきった事いちいち言わないでよね!」


笑顔でそう言った優にシンは顔を上げなかったが、優はそんな彼を見ようとはせずアナスタシアを振り返った。


「ほら、アナスタシアも!シンをからかっちゃ駄目だよ!」

「…あ…──えぇ、ご…ごめんなさい、シン」

「………」


シンは何も答えず無言のまま顔を逸らし、それが優の心を酷く軋ませた。
再び重苦しい沈黙が落ちる。


「…っ、俺、船内の破損がないかどうか確認してくるから」


絞り出すような声でそう言い、黒衣を翻して逃げるようにシンは立ち去っていった。


「……優、あの…──」

「アナスタシア」


くるりと振り返った優に浮かぶ表情は、笑顔である。


「ほらっシンも行っちゃったし、うちらも乗客達にもう大丈夫ですよって伝えに行こ?」

「ちょ…優…!」


ぐいぐい、と背中を押され、アナスタシアは優を背中越しに振り返ったが、彼女は笑顔で纏わりついてくるメイファに話しかけていて、アナスタシアと視線を合わせようとはしなかった。



◇◇◇



「──動力室が損傷、ですか…」


シンの声に、目の前にいる船長と思しき初老の男は神妙な面持ちで頷いた。


「ですが、今すぐどうのと言った事態ではありません。ただ、魔法エネルギーを回復させるために一度近くの港に寄港する必要があります」

「それは西欧の港じゃなくても構わないのですか?」

「ええ。船舶を停止させたいだけですから」

「…ここから一番近い港は──」


眉を顰めさせたシンに船長はゆっくりと頷いた。


「合衆国の港しかありません」

「…」


思いがけずシンは息を詰まらせた。
船長の表情も堅い。


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あきゅろす。
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