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05



「人類がいる限り地上に安寧は訪れない。何故それに気付かないのです。人類を殲滅しろとただ一言おっしゃれば全身全霊をかけて命令を遂行するのに。なのに一言もおっしゃらなかった。可哀想な我らの女神。盲目的に人類を愛した女神は彼らを愛するが故に戦い、そして愛する者達に殺された。最後の最後まで彼女は人類を愛した。罪を繰り返す人類に一体何を期待するのか。気付くべきなのです、人類の業の深さを。このまま更に転生を繰り返すおつもりなのですか?エデンの再建は?どうか早く気付いて下さい。魂の悲鳴が轟く前に」


優はただ至近距離にあるイザヤの瞳を見つめる事しか出来なかった。
ひどく喉が渇く。


「な、に言って…」


無理矢理発した声は掠れていた。






どうしてあたしを見るの?
どうしてあたしに言うの?
どうしてあたしなの?







あたしは──…。











あたしは…──?













その時、遠くで図書館の扉が開かれた音がしたかと思うと、ややあってシンが現れ、そして優とイザヤの様子を見て目を瞬かせたようだった。

イザヤは優から体を離すと、胸に手を当てて膝を折った。


「忘却は罪です。忘れてはなりません、人類という生物の本性を」


それだけを言い残し、イザヤはシンの横を素通りすると優達の前から姿を消していった。


「………」

「わっ、優!?」


ずるずるとその場に崩れ落ちた優はメイファの声を遠くに聞いていた。

心臓が早鐘を打ち、背中を嫌な汗が伝う。


「……ねえシン。エデンって、なに?」


優の声にシンは眉を顰めさせた。


「エデンは聖書の中に出てくる嘗てのこの星の名称だ。女神と始祖達が在った安寧の大地と言われている」

「安寧の大地……」

「ねえシン。うち不思議に思う事あるけど訊いてもいいアルか?」

「なんだ」

「うちらさっきイザヤから話聞いたアル。女神は人間達から異端と称せられて、それで処刑されたって言ってたヨ。その女神をどうしてシン達薔薇十字団は崇拝してるアルか?薔薇十字団は異端を弾圧するネ。女神は異端じゃないアルか?」

「彼女は異端じゃない」


シンの声は強い。


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あきゅろす。
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