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04



「!?」

「伊達に団長の地位に就いているわけではありませんのよ!」

「…っ面倒臭い女だ!」


アナスタシアの間合いから外れ、ユダは凍り付いた箇所を指を叩き潰さんばかりの勢いで瓦礫の破片で殴り付けた。
戒めはすぐに解かれたが、魔法の影響でどうやら一時的使い物にならなくなったらしい、舌打ちと共にユダはドラグノフを地面に投げ捨てた。


「…俺の大事な武器だ。落とし前はつけてもらうぜ、女」

「………何故そんなにもその銃を?」

「ずっと傍にあった大事なものだ。俺にとっては神器と同等だ。お前には関係ない事だ!」


神器を発現させたユダにアナスタシアは一度だけ瞑目すると、槍を構えて腰を落とした。


「おーお。やるなぁ、アナスタシア」


そんな呑気な事を言いながらも、エドガーは引き金を引いた。
狙い違う事なく銃弾はイザヤを狙うが、それは難無く彼の武器によって防がれてしまった。


「アナスタシアの呼び掛けで、万が一ユダが正気を取り戻したら困るのはお前さんだぜ?止めに行かなくてもいいのか?」

「ご心配なさらず。そのような事はありえませんから」


イザヤは神器を振るう。
軽く払うように振るっただけであったのに、エドガーの周囲を凄まじい落雷が次々と落ちた。
凄まじい威力の煽りを喰らってエドガーがたじろいだ瞬間、ひゅんっとその耳元で一陣の風が唸る。
頭で考えるよりも早く、エドガーは銃身を突き出していた。
一瞬遅れて、雷光を纏った剣が激しくぶつかってくる。


「残念。読まれていましたか」


間合いから外れた地点に降り立ち、イザヤは両手で剣の柄を持つと腰を落とした。
イザヤの周囲に電光が集中していく。爆ぜる音がエドガーにまで届く程だ。


「避けようなどとは思わないように」


その瞬間、イザヤの周囲に集まった電光がまるで巨大な剣のような形になり、エドガー目掛けて放たれた。


「おわっと!?」


エドガーが身を翻した瞬間、凄まじい電撃が先程までエドガーのいた地点を駆け抜ける。
地面は大きく抉り取られ、残滓を残すかのようにどこかしこで雷光が弾けている。


「…っおいおい、なんつー威力だよ……」

「おや、存じませんでしたか?私結構強いんですよ?」

「さっすが生粋の始祖様だ」


白衣の裾を跳ねのけ、エドガーは今度はライフルを取り出した。


「二丁同時なら、ちったぁ手ごたえあんだろ」


エドガーはライフルを掃射する。
弾丸の嵐をイザヤは軽々と回避し、着地するや否や神器を振るった。
槍のような雷撃がエドガーに牙を剥くが、動じる事のないエドガーは最低限の動作で身を翻すと、引き金を引いた。

まず一発。
案の定軽々と回避されるが、続けて連続で引き金を引く。
イザヤを狙うそれらは、だがイザヤの動きを止めるには至らない。


「甘いですよ」

「!」


イザヤの周囲で爆発的な光が上がり、エドガーの網膜を焼く。


「…エドガー!横ヨ!」


背後からメイファの声が轟いたその瞬間、先程の光のせいで不明瞭な視界の隅を刃が煌き、エドガーは後方に跳んだ。
一瞬前まで首のあった地点をイザヤの刃が横切る。


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