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04



「エドガー頑張るんでしょ?だったら私も頑張るよ。この家でずっとずっとエドガーの帰りを待ってる」

「……リネット」

「だから必ず帰ってきて。絶対に死なないで…エドガー…──」


“死なないで”──その言葉は、重くエドガーの心にのし掛かった。

だが、今にも泣き出しそうなリネットの手前、エドガーは柔らかく笑う事しか出来なかった。


「ああ。リネット」


強く抱き締め、触れるだけの口付けを与える。応えるようにリネットの腕に込められた力を感じながら、エドガーはぎゅっと己の拳に力を込めた。



◇◇◇



薄い素材のカーテンから射し込んできた光に、優はうっすらと目を開いた。

結局あの後、そのままソファの上で寝てしまったらしい。自分を抱き締めたままシンも眠りこけていて優は笑った。


「ははっ。超アホ面……」


思わず笑い声が漏れる。

嘗ての自分だったら、きっとこの腕を拒絶し続けていた。だが今は彼の腕に込められている想いを痛い程感じる。その熱と想いをもっと感じていたくて、優は身を寄せた。


(信じて大丈夫なんだよね…)


「シン……」


相変わらずシンは眠りこけている。小さく開いた口からは絶えず寝息が漏れ、その気の抜けた寝顔は優の悪戯心を刺激した。

手始めにまず鼻を摘む。一瞬その眉間に皺が寄ったが、口から息は漏れているのであまり効果は無い。

それならばと今度は鼻と口を一緒に塞いでみる。再度シンの眉間に皺が刻まれる。

じっとそのまま数秒様子見。さすがに苦しくなってきたのかシンを無意識ながら身を捩って逃げようとするが、優はそれを許さない。


「〜〜〜〜っ!!」


声にならない呻きを上げ、シンは逃れようと遮二無二顔を動かす。さすがに可哀想になってきたので、優がぱっと手を離した途端、弾かれたようにシンは体を起こした。


「おはよう。シン」


優の声が届いていないのか、肩で大きく息をしながらシンは忙しなく辺りを見回している。


「ゆ、夢か………」

「どんな夢見てたの?」

「海で…溺れる夢見た……」

(夢じゃないんだけどなぁ…)


深い安堵の息をついたシンを見ながら、優は一人心の中でごちる。

立ち上がったシンは寝乱れた髪はそのまま、カーテンを引いた。一気に陽光が部屋に射し込み、思わず優は目を眇めた。


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