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「始祖は全部で5人になるの」


夕食を済ませた後、割り当てられた室内で優はそう切り出した。


「5人…」

「うん。だからきっと多分あともう一人、大地を司る始祖がいる筈」

「自然事象一切を司った最初の人──始祖、か…。非科学的なもんだ」

「……」


感慨深げに紫煙を吐き出したエドガーの横で、シンはただ優を見据えている。

優は未だ真剣に語り続けている。そんな彼女を見ているうちにシンは思わず口を開いていた。


「始祖の数だけ神器があるんだろ?」


視線がシンに集中する。構うことなくシンは続けた。


「始祖は5人。今俺達の前に現れたのは4人。お前が言うのは残りは大地の始祖だけ。だったら──」

「自分は一体何なのか、か?」


不快げに睨み上げてきたシンにも動じず、エドガーはそれ以上何も語らないまま煙草をくゆらせている。優は一度俯き、だが真っ直ぐシンを見つめて答えた。


「…雷光を司る始祖は、イザヤ。始祖イザヤだけ。そもそも一つの自然事象を司るのに二人も始祖は置かない。これは…本当だよ」

「……」

「…ごめん、分からない事ばっかりで」

「…いいよ、別に。すぐに全部明らかになるとは思ってねぇし」


言って、シンはポケットに手を突っ込んで肩で息をついた。そんな彼の横でエドガーは相変わらず暢気に煙草を燻らせている。


「まっ、のんびり行こうぜ。不可解な事柄が多すぎんだ、これから一個ずつ明らかになってくんだろ」


煙草をもみ消し、エドガーは真っ先に立ち上がると「お休みー」と言い残して寝室の方に引き上げていった。


「エドガーの言う通りだね。とにかく今は無事ユーラシア大陸に帰れる事だけ考えようよ」

「そうですわね」


それを皮切りに皆は寝室に引き上げた。ただ、そんな中でもメイファだけはソファに腰かけたまま立ち上がろうとはせず、優は皆が立ち去ったのを見計らって、そっとメイファの前に屈み込んだ。

あれから、メイファは一言も口を聞かない。

否、聞かないというのは少々語弊がある。こちらから話しかければ一応応答はあるものの、短い受け答えのみであって、自分から誰かに話し掛ける事はなかった。


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あきゅろす。
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