06
「見たら分かる言われてんやけどなぁ」
「一人アルか?」
「んーん。なんかなぁ、東洋人と西洋人の混ざった変な集団。そん中にいるらしいんやけどメイファ知らへん?」
その言葉にメイファは思わずアダムを振り返っていた。
アダムの様子は一切変わらない。
彼は相変わらず空を仰ぎ、メイファの変化に気付いていない。
メイファは言葉を吟味するように慎重に口を開いた。
「…集団、アルか?」
「せやでー。そん中にいる女の子一人、捜してん。俺と同じような奴らみーんなで世界中捜してんやけど、俺最近覚醒したばっかやからなんで捜さなあかんのんかは分からんけど、イザヤの命令やし、なんかあいつが言うにはそれが俺達の使命らしいし」
何の気も無しに語るアダムの横で、メイファは無意識の内に一歩後退していた。
アダムは気付かない。
「──…へ、へぇ!そ、そうアルかぁ」
努めて明るい声を出したが、メイファ自身からしてもそれは不自然な響きを持っていた。
「見付かるといいネ!──…ご、ごめんけどうちちょっとお手洗い行ってくるヨ!」
だっと踵を返し、メイファはとにかく優達の所に戻ろうとした。だが──
「あ、メイファこんなところにいたー」
メイファは固まった。
タイミング悪く、下へと続く階段から優が顔を覗かせたのだ。
反射的に振り返る。
大空を仰いでいた筈のアダムの瞳がメイファを見、そして優に移されたのを確かに見た。
その瞬間、アダムの瞳に驚喜が宿る。呼応するように急に辺りに旋風が満ちた。
メイファは青ざめたが、時既に遅し。
アダムの周囲で発生した旋風が牙を剥き、鎌鼬となって優に襲い掛かった。
「優!!」
飛びつく形で優を突き飛ばす。
一瞬前まで優のいた地点は、凄まじい風圧によってずたずたに切り裂かれていた。
「始祖!?」
「初めましてー女神さん」
微風に髪をなぶられながら、アダムは笑みを浮かべた。
「アダム言います、よろしゅう」
「…信じらんない!こんなとこにまでいるの!?」
すっかり臨戦態勢を整えた優の前で、メイファは呆然と座り込んだままだ。
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