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06(終)



「今日はあんがとな、メイファ。俺むっちゃ楽しかったで!」

「それうちもヨ!またうちアダムと遊びたいアル!アダム、ずっとアメリカいるアルか?」

「分からへん」


間髪入れずそう言い、アダムは笑った。


「みんながどうするか分からへんし。もしかしたら別の国にいるかも」

「だったら大丈夫ヨ、うちもきっと別の国にいるアル!」

「ホンマ?せやったら、また会えるかもしれへんな」

「うん!」


はにかんだ笑みを浮かべたアダムに、メイファも嬉しそうに笑った。


「その時はまた空中散歩したいアル」

「ええで!俺も、もちっと制御上手くなっとくわ」

「じゃあ、またネー!」

「んー、またなー」


手を振ってメイファは駆けていき、その後ろ姿をアダムはずっと手を振って見送った。
そんな彼の背後から、こつりと足音が響く。


「アダム」


呼ばれて振り返ったアダムは、そこに立っていた黒衣の金髪の青年を見てその目を顕著なまでに瞠らせた。


「イザヤやん、どないしたん?」


現れたイザヤは腕を組んで呆れたように溜め息をついた。


「こんな街外れまで来て何をしているんです」

「空中散歩」

「アダム。あなたはまだ覚醒して日も浅い。神器の発現は難しい筈です。下手をするとリバウンドで精神がやられる危険性がある。少しは慎みなさい」

「はぁーい」


間延びした返事と共に、アダムはイザヤに追い着くと彼の顔を嬉しそうに見上げた。


「なぁなぁ、イザヤ。俺な、今日面白い子と会ってん」

「どんな子です?」

「メイファって子やでー。今日ずっと一緒に遊んだん」

「…メイファ?──…成る程、それはよかったですね」

「また会う約束してん。会えるといいんやけどなぁ」


目を輝かせているアダムの横で、イザヤはほんの僅かに口角を吊り上げた。


「会えますよ。必ず」

「ホンマ?」


凛と、微塵も迷いのないその口調にアダムは彼を見上げ、はにかんだように笑った。


「せやったら、俺もっと鍛錬頑張ろーっと」

「鍛錬のついでに、あなたにはもっと始祖としての自覚もつけてもらいますからね」

「はいはい、りょーかい」


大きく伸びをしたアダムの横で、イザヤは稜線に沈む夕日を仰ぎ、そしてそっと唇を歪ませた。




to be continued....

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