Vongole Company
088マイペース王子
ほらよ、とベルさんに携帯を手渡される。
いまだに画面は開いているものの、真っ暗なディスプレイで。
私は一応確認しようと耳に近づける。
……ツーツーツー
聞こえるのは単純な機械音。
私はパチンと携帯を閉じ、後ろを振り返った。
「何するんですか、ベルさん!」
「シシッ、なんだよ、王子いいことやったつもりだし♪」
ベルさんは反省の色を微塵も見せず、逆に私が呆れてしまう。
マーモンさんも部屋の中から呆れているような表情を見せている。
大体さー、ベルさんは私の頬を抓りながら言う。
「泣くわ悩むわで大変そうだから助けてやったんだし♪」
あ、たしかに…
さっきベルさんが電話を切らなかったら私はなんて言ったんだろう。
じゃあ帰ります、なんて言えるはずもなく。
うーん、と悩む私を見てベルさんは
「まあここにとりあえず泊まれって♪」
と言い、私の頬から手を離す。
そして
「おやつ貰いに行こーぜ」
とお気楽に歩きだした。
ふんふんふーん♪
ベルさんは鼻歌を歌いながら、階段を一人降りていく。
なんてマイペースな人だ、と私が見送っているとマーモンさんが部屋から出てきた。
そして呆然とする私を見て
「ベルはマイペースだから気にしなくていいよ、むしろ今日はかなり機嫌いいよ」
と手をとり呟く。
そして僕らも貰いに行こっか、とのんびりと私の手を引いて歩きはじめた。
リボーンさんたちに対してごめんなさい、と謝っていた私だけれど、マーモンさんに手を引かれながら歩いているとだんだんと罪悪感が薄れてくる。
嗚呼、怖いね、慣れって…!!
私、今日からここに住民票を移すかもしれません。
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