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Vongole Company
085
それぞれの席に座る面々。

一つのテーブルを囲むかのように集まっており、雲雀が一人だけ少し離れた木製の椅子に座っていた。

パチパチと暖炉で火花が跳ねる。



「…で、どういう経緯でアイツはいなくなったんだ?」



リボーンが殺気を込めて口を開き、山本を見る。

山本はそれは雲雀が知っている、と言わんばかりに顎で雲雀を軽くしゃくった。

当の雲雀は暖炉の火を見つめたまま。

暖炉の暖かい赤色が雲雀の顔を明るく照らしている。

しかし雲雀の表情は対照的にどことなく沈んでいた。

そんな雲雀に構うことなく、リボーンは容赦なく雲雀に言葉を浴びせた。



「おい雲雀、お前がなんかしたのか?」

「泣いてたよ」

「…は?」



小さく呟く雲雀。

その呟きは暖炉のはぜる音で掻き消されるほどだったが、獄寺がしっかりと聞き取り怪訝そうな声を上げる。

そしてリボーンが銃を立ち上がりながら片手に取り出し

「てめぇが泣かせたのか」

と雲雀に狙いを定める。



「おい、笹川とハルもいるんだぜ?」


山本はリボーンをやんわりと咎めるが、リボーンは腕を下ろさずに鋭い眼光で雲雀を見据えている。



「てめぇが泣かせたのかどうかって聞いてんだ」

「僕じゃない、綱吉が何かしたみたいだけどね」



詳しくは知らない、と雲雀は首を小さく振り携帯を取り出した。

雲雀の言葉を聞き、リボーンは小さく舌打ちをし腰を下ろす。



「…だからツナのやつ部屋から出てこねぇのか」



しばらくの沈黙が続く。

リボーンは帽子のつばをいつも以上に下げ表情は見えず。

京子とハルはお互いの手をキュッと握り合い、山本は目を閉じ指を組んでいた。

獄寺にいたっては膝に手を置き、貧乏ゆすりの音を最小限に抑えていた。



パチン。



静かすぎる部屋にその音はよく響く。

獄寺がなんだよ、と雲雀を振り返れば、携帯を見つめため息をつく雲雀。



「ダメ、繋がらない」

「お前、どこに電話かけてんだ?」



キョトンとする獄寺。

雲雀は「ああ」と面倒くさそうに呟き、軽く間をおいた後に口を開いた。



「悠南の携帯にね」

「あいつ携帯持ってんのか?!」

「毎日内緒で服に入れといただけ」

「お前ストーカーかよ!」


悠南にも、もちろん幹部にも内緒で携帯を忍び込ませていた雲雀。

毎朝、悠南が起き出す前に草壁という有能な部下を使い悠南の服に携帯を入れるように指図していた。



「おまっ、俺らにも教えろ!」



獄寺がぐいぐいと雲雀に近寄り、叫ぶ。

雲雀はジロリと獄寺を見た。

しかし、これ以上隠してもしょうがないと思ったのかフーッと息を吐き、口を開いた。



「一大事だからしょうがないね、教えてあげるよ」



雲雀が凛とよく通る声で悠南の携帯番号とアドレスを読み上げ、全員が全員一斉にメールや電話をかけはじめた。

京子は了平に電話したらしく、「大変だよ、お兄ちゃん」と言い、ハルはイーピンに「大変です!」と電話をしている。

その時、固定電話がけたたましく鳴りはじめた。



もしかしたら、という期待を込め、獄寺が電話に駆け寄る。

全員が獄寺の動きを見守る。

電話の前にたどり着き、フーッと深呼吸。

そしてガチャッと豪快に受話器を掴むと思い切り叫んだ。



「てめっ、悠南!!

どこにいやがる!!」

「やっぱり悠南に何かあったんですね!!」



いきなりテレビ電話にかわり、そこにいたのは……

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あきゅろす。
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