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Vongole Company
084
悠南の脱走後のボンゴレ。

雲雀と山本はスクアーロの車を見えなくなるまで見送り、山本が雲雀に危機迫った顔で話し掛けた。



「悠南がいなくなったって…

何が理由だ?」



山本の言葉に答えることもなくフンと鼻を鳴らし、雲雀は建物の中に入っていく。

振り向き際に

「後で広間に集まりかけるから、その時にね」

と若干睨みながら言い、建物の中へと消えた。

そろそろ息を吐けば白く見える季節。

外に立っているだけでも顔がいたくなるほどの冷気が突き刺さる。

悠南…どこにいんだ?

山本は寒空を仰ぎ、建物の中へと慌てて入る。

イタリアの冬は寒い。










ボンゴレ寮の広間で、放送機器であるマイクに腰掛ける青年が一人。

青年は機器のスイッチを細長い指で入れ、静かに口を開いた。

「今から幹部全員、広間に集まってくれる?

大事な話があるよ」

雲雀の冷徹な声がボンゴレ寮に響く。

今日はリボーン、獄寺、そしてツナがいるはず。

しかし、いっこうに広間に向かう足音は聞こえない。



「誰もこねーな…」



けっこう一大事なんだけどな、と扉を開けつつ山本は頭をかいた。

いつもの能天気な様子はどこにもなく、心配でたまらない、といった感じで険しい顔をしている。

そして山本は身近にあったソファーに腰掛け、雲雀は不満そうにチッと舌打ちをする。

山本以外誰もこないのが相当不満らしい。

どうしたものか、と山本は手を顎に沿えると閃いたようにポンと手を叩き立ち上がった。

そして雲雀に「ちょっとどいてくれねぇか?」と頼み、またしてもマイクの電源を入れる。

カチッと光る赤いランプ。

電源が入り、山本はマイクに向かって口を開いた。

強制的に退かされた雲雀は山本を怪訝な目で見る。



「悠南が行方不明になった、早くきてくんねぇか?

まあ仕事あるなら無理にとは………あ。」



ドタバタと響いてくる足音。

どこからか銃声も聞こえる。

山本が言い終える前に広間の扉が豪快な音をたてて開いた。



「悠南が行方不明ってどういうことだ、野球バカ!!」

「詳しく説明しろ」

「ハルたちも幹部じゃないけど絶対聞きます!」

「山本くん、悠南ちゃんは…?!」


ツナ以外、寮にいたであろう悠南に近い者が全員集まる。

全員が全員、違う作業をしている真っ最中に部屋を飛び出してきたことが窺われた。

「まぁ…とりあえず座ってからな」

山本は全員に席を促し、全員はそれぞれに席に着く。

悠南、というワードを出した途端に集まってきた面々に雲雀は



「単純だね、君達…」



と小さく呟いた。

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