Vongole Company
080ティアラの青年
「入れぇ」
「し、失礼します」
スクアーロさんに促され入ったのは広間らしき場所。
でもボンゴレとは違って少し暗くてシリアスな雰囲気を醸し出していた。
スクアーロさんが一つの椅子をスッと引き、お前の席はここだぁと示してくれる。
ありがとうございます、とお礼を言い素直にその場所に座る。
うん、残念ながらいつもみたいにふざけられないよ、この雰囲気…!!
私が座るとほぼ同時に広間の扉が再び開く。
「シシッ、何あいつ?
スクアーロの彼女?」
私が振り向けば金髪のティアラを頭に乗っけた青年と紫色のフードを目深に被った人影。
フードの人は男性なのか女性なのか判別できない…!! けど女性にしとこうか、うん
スクアーロさんは
なんで全員彼女になるんだぁ!!
と言い、私に向き合った。
「ゔぉおい、悠南…
お前、なんで雲雀恭弥とか山本武に捜されてんだぁ
ボンゴレの人間じゃねぇだろぉ」
ゔ、と私は言葉に詰まる。
ティアラの青年は
「シシッ、おもしろそーじゃん♪」
と笑いながら席に着き、フードの人も
「聞く価値はありそうだね」
と腰を下ろす。
私はさんざんためらった挙句、簡潔に最初から話すことにした。
「実は私、とあるマフィアの娘だったんですが家出してボンゴレに拾われて…」
「シシッ、で?
沢田綱吉にプッチーンときて家出ってわけ?」
「まぁ…はい」
「人生決めるのは良くないわー!」
いつの間にかハチミツパックを持って広間に入ってきたオカマさんも加わり、いままでのことを話す。
全て話し終えた私はフーッと息をついた。
話したはいいけど私…どうなるよ?
私の話を一通り聞いたスクアーロさんは
ゔぉおい…と言いながら私を見た。
「つまりお前は…
沢田綱吉とかから逃げたいんだなぁ?」
「そうです」
正確に言うと沢田綱吉とか、と言うより
沢田綱吉のみ、から逃げたいです、私は…!!
山本さんとか京子さんとか私の癒しはあそこにいっぱいあるんだから…!!
スクアーロさんがじゃあ、どうするかぁ…と悩み始めるとティアラの青年が肘をつきながら言った。
「シシッ、簡単じゃん」
「なにか案があるの、ベル」
紫色フードの人がティアラの青年に問い掛ける。
ティアラの青年は笑いながら答えた。
「沢田綱吉たち以外に家族いないんだろ?
でも帰りたくないんなら…
ここに住めばいーじゃん、シシッ♪」
「……は?」
何かすごくズレている気がする、と思いながら私は唖然と返す。
スクアーロさんも
「なんでそうなるんだぁ!!」
とか言ってるし。
しかしティアラの青年はいっこうに譲らず、
「だってお前みたいな女拾ってくれるとこ、絶対ねぇって!」
と言う始末。
うっ…
行くところもない私にとっては…
ある意味正論…!!
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