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Vongole Company
076響く怒声
どうすれば遠くに行けるだろう



考えた末に私は門の目の前に乱暴に停められている車に近づいた。

黒光りするベンツ。

多分お客さんか誰かの車だろう。

私はトランクに手をかけ、静かに開いた。

中は空っぽ。



……よし、イケる…!!



私はひょいとジャンプし、トランクに乗り込んだ。

中はけっこう広く、寝た態勢でも苦にはならない。



この車で適当に乗ってけば、どこかには行ける…!!

無鉄砲さが私の特徴だもん…!!



トランクの中に入り込んですぐに車の近くで声がした。

この低くて妙に良い声は……



雲雀さんだ…!!



雲雀さんは誰かとイライラとした口調で電話をしているらしい。

たまに脅しめいた言葉も聞こえた。



「…草壁?

迷子を探さなきゃいけなくなったから、すぐ何人か連れてきてくれる?

……ワオ。僕の言うことに逆らう気?咬み殺すよ?」



怖い、怖いです雲雀さん…!!

あと迷子ってもしかして…?



「名前?
前にも言ったことあるでしょ、悠南っていう変な子」



私ぃぃ??!

しかも変な子?!



思わずトランクから飛び出しそうになる私。

でもここは自分の感情を抑える。

ここで出ていったら雲雀さんに捕まってボンゴレ家出作戦丸つぶれだ。

それだけは避けないと。

ここにいたら私は



使 用 人



の道を辿ることになる…!

自分自身に葛を入れる意味も込めてガッツポーズをしている間に雲雀さんの電話は終わったらしい。

しばしの静寂。

あまりにも静かなため、すでに雲雀さんはいなくなったものだと思っていた。

突然、足音が響き小さな呟きが聞こえる。



「…悠南の気配、ここからする」



呟いたのは雲雀さん。



まだいたのかアンタ…!!

気配ってなんだよ!



ツッコミつつ、私はあることに気がついた。

雲雀さんがトランクに感づいてる…?

つまり…

トランク開けられて終わる…?!

皮肉だろうか、真っ暗なトランクからは外の様子は確認できない。

つまり雲雀さんがトランクを開けようとしているのか、

はたまたどのタイミングで開けるのか全くわからないこの状況。

私は心臓の高鳴りを感じた。



あ、もちろん極度の緊張での高鳴りで、ね…!!



私が身を固くしていると、雲雀さんの足音がどんどん近付いてくる。

そしてすぐ近くで足音が止まる。

これは見なくても分かる。



絶対トランク開ける気だ…!!



私がギュッと目をつむり、雲雀さんの冷酷な目を覚悟したときだった。



「ゔぉおい!!!!」



いきなりの大声とも怒声とも言える声はトランクの中の私にもよく聞こえた。

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あきゅろす。
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