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Vongole Company
075
乱暴に部屋がノックされる。

返事も待たずに入ってきたのは雲雀さんだった。

入ってくるなり雲雀さんはズイッと俺に詰め寄った。



「ねぇ、綱吉

悠南を泣かせたの君?」



鋭い眼光は俺を睨みつけている。

嘘をついてもしょうがないため、ため息を吐きながら答えた。



「…えぇ、まあ」



答えると同時に雲雀さんはいきなり胸倉を掴む。



「…よくそんな平然としてるね」



信じられない、といった感じで雲雀さんは力を強める。



雲雀さんにも誰にも気づかれちゃいけない。

俺が動揺してるってことを。

ただボスとして一人の女で動揺してる姿は許されないもの。



俺は何も言わずに雲雀さんを睨み返した。

すると雲雀さんはあっさりと手を離し、扉へ向かいながら言った。



「今は悠南を捜し出すことが最優先だからね、咬み殺すのは後にするよ」



だけど、と雲雀さんはドアノブに手をかけながら言った。



「君が悠南を泣かせるような男だなんて思わなかったよ」



乱暴に閉められたドア。

わずかながらも聞こえる足音。

雲雀さんが悠南を捜しに走っていったのだろう。

俺はソファーに力なく座り込みため息をついた。



俺が悪いんだ、全部

悠南を振り回して

勝手に退学させて

使用人になることまで決めて。

悠南なら笑って使用人になってくれると思っていた。



なのに



「馬鹿だよなぁ…俺。」



大嫌いと言われたショックよりも何よりも。

悠南の涙が気にかかった。

本当はすぐにでも駆け寄って涙をぬぐいたかったのに、俺の足は動かなかった。



「…ごめん、悠南」



小さく呟き、綱吉は顔を手で覆う。

部屋には時計の音が嫌に大きく響いていた。

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