Vongole Company
073入った亀裂
「使用人?!」
「うん♪」
私が机を叩きながら立ち上がる。
綱吉さんはブラックスマイルを浮かべ、頷いた。
なぜ私の就職先をあなたが決めるんだ…!!
「学校やめる?
使用人になる?
…ははは、私には理解できませんね!」
そう言い放つと、綱吉さんは
「よほど残念な理解能力だな」
と嘲笑した。
理解はしてますから…!
それを受 け 入 れ ら れ な い だけです…!!
綱吉さんはさらに言葉を続ける。
「使用人で何か不満か?
世界のボンゴレの使用人が不満?
そこらの企業の幹部より給料高いのに?」
信じられない、と言わんばかりに綱吉さんはわざとらしく目を見開く。
怒りを通り越して唖然としている私を見ながら、綱吉さんは最後の言葉で私にとどめを刺した。
「大体いい職業確保してやったんだから
感謝してほしいくらいなんだけど」
「…………は?」
勝手に学校やめさせて職業まで決められて感謝しろ?
綱吉さんはフフンと笑いながら私を見ている。
この時、私の中でなにかが切れました。
「……ふざけないでください」
「…?」
私は静かに切り出す。
綱吉さんはわけがわからない、といった顔で私を見た。
まだ良い事した気分か、コノヤロー
私はキュッと拳を握りしめる。
「誰が学校やめたいって言いましたか?
誰が使用人なりたいって言いましたか?
私の人生です、勝手に決めないでください!」
綱吉さんの顔を見る余裕もない。
私は言いたいことをズラッと言い、扉に向かった。
綱吉さんは無言。
あれ、おかしいな。
なんかしょっぱいものが口に入る…
私は扉を開け、最後の最後にこう叫んだ。
「綱吉さんなんか……
だいっきらい!!!」
「……悠南!」
扉を閉める直前、立ち上がった綱吉さんを見た。
顔は見なかったけれど、最後に私の名前を呼ぶ声。
私は全力で玄関へ向かった。
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