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Vongole Company
008九代目
ビシッと私を指す隼人さん。

嗚呼、この人は勘がいいんだなと思う。

まあマフィアなんか居候させたくないのは当たり前………か。

私は動けずに止まっていた。

おじいちゃんは隼人さんをじっと見据えている。



「隼人くん、人を指さすのはやめなさい」



「しっ、しかし九代目っ…」



「ボスの命令に逆らうかね?」



「…っ、すみません」



まただ。

またおじいちゃんの有無を言わせないオーラ。

さすがに隼人さんも黙ってしまった。



「彼女はね



リーディオファミリーのご令嬢だ」



「…!!」



何暴露しちゃってんだ、おじいちゃん…!

リーディオファミリーとは私の父親がボスを務めるファミリー。

まあリーディオファミリーなんて言っても一般の人にはそれほど通じないわけで。

隼人さんもリーディオファミリーなんて聞いても



「やっぱりマフィアなんですね」



くらいの反応だと思っていた。



なのに……


「リーディオ……!



あのタチの悪いマフィアっすか…!」



そう言うと隼人さんは私をギロリと睨んだ。



え、えーっと……

タチの悪いマフィアでごめんなさい…



隼人さんの睨みに怯えた私は、とりあえず心の中で謝る。

しかしなんで―

タチの悪いマフィアだということが分かったのだろう。

ここは世界最大といっても単なる一般企業なのに……



「九代目。



外にリーディオファミリーが来ています。」



沈黙を守っていたオレガノさんが口を開いた。

その言葉に思わず私は窓に駆け寄る。

私が窓の外を覗くと、そこにはスーツに拳銃片手の父親。



嗚呼、お父様……



一般企業に何をするつもり…?!



私が見ていると、父親が私に気付いた。

そして静かに口を開いた。



「ボンゴレ…



娘を返していただこう」



娘を返していただく?

嗚呼、お父様、あなたはどうせ―



私の救出を掲げてここを乗っ取るつもりでしょう―



いつの間にやら私の背後で窓の外を見ていた隼人さんが



「あれ、お前の親父か?」



と尋ねてくる。



「まあ、はい…」



「チッ、お前に似てうざってぇ」



この状況でそういうこと言う?!

反論しかけた私を遮り、隼人さんは口を開いた。


「チッ、一発やってくるか」



そう言って部屋から出ていく。



「え?!



ちょ、あっちはマフィア……」



私の言葉を聞かずに隼人さんは扉を閉めた。

お父様はこの機会に乗っ取るつもりだろう、

同盟ファミリーも含め、精鋭たち百人ほどを連れ添っていた。

つまり、万全の兵士を従えてきたわけだ。

それを一般企業の幹部さんなんかに――



「おじいちゃん、ごめんね、私のせいで…



マフィアなんかに世界最大とはいっても一般企業のボンゴレは勝てないよね……」



「何を言っているんだね、悠南」



「へ?」



おじいちゃんは心底驚いた顔をしている。

一方の私もぽかーんとした顔をした。

家光さんは吹き出している。



「家光さん、笑ってる場合じゃ……」



さすがに不謹慎ですよ、と私は咎めようとしたが家光さんの笑いはおさまらない。

不思議そうな顔をすると、家光さんはようやく笑いをおさえて言った。



「ボンゴレが一般企業?



とんでもない!」



「え。」



「悠南、お前の前に座ってるおじいちゃんはな…

世界最大のマフィア、ボンゴレファミリーのボスだぞ?」



「えぇっ???!」



おじいちゃん…

こんなに優しそうな顔なのにマフィアのボス……?

嗚呼、神様

私は悪い夢を見てるんでしょうか―……

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あきゅろす。
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