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Vongole Company
047山本ワールド
私が見たのは野球の投球フォームの山本さん。



投げる気満々、



は、手加減? シラネーヨー



と言わんばかりの真剣投球フォーム。



あのフォームから織り成された速球に当たったら死んでしまう―!!!



本能的に気付き山本さんに向かって叫ぶも真剣な顔は変わらず。



え、何々?!

いつもの山本さんじゃないんですが!

山本さんって野球入ると人格変わっちゃうタイプ?!



「そーれっ」



一応キャッチボールらしい山本さんの掛け声と共に飛んでくるのは見事な剛速球。

私は目をギュッとつむり、素早く右へ移動した。



山本さんの見事な剛速球は綺麗に私が元いた場所に飛んだらしい。

先程まで私の背後にあった茂みにガサガサとボールが突っ込んでいく音がした。



逃げてなかったら私死んでたぜ、おい…!!



私がホッと胸を撫で下ろしていたところ。



「クハハァッ??!」



気持ち悪い叫びが聞こえた。

私はそっと目を開ける。


まさか、まさかね…!!



とよく分からないことを思いつつ、茂みの後ろを覗くと。

1番実現してほしくなかった予想が実現になってしまいました。



「…クフフ、ダーリンの安否が心配で覗きに来たのですね?

大丈夫です、僕は悠南を置いて逝ったりはしませんよ」



「いや、いっそ逝ってください」



恐る恐る覗き込む私に横たわりながら腕を伸ばす変態ナッポー。



いや、あの、もしかしたらカッコイイシーンなのかもしれないんですけど。

鼻血出して、微笑んでるというよりニヤけてる美形にやられても



気持ち悪いだけです。



「悪いな、悠南!

どうも野球のこととなると手加減できなくてな…」



変態ナッポーを本気で嫌悪している私に駆け寄ってきた山本さん。

手を合わせて謝ってくれている。



なんてジェントルマンだ、山本さん…!!



「大丈夫ですよ、山本さん



私は無傷です!!」



うん、私は、ね。

傍らに鼻血出してニヤけてる変態はいるけどね。

なんか今はニヤけたまま動かないけど。

気持ち悪っ



本当に悪かったのな、と山本さんは苦笑しつつ私の頭を撫でた。



本当にカッコイイ人はシーン作らなくてもカッコイイよね…!!


「んじゃ今日は帰るか」



家帰ってゲームすっか、と山本さんは笑った。

そしてグローブを外した。

つられて私もグローブを外す。



よし、



と呟き私を見た山本さんはいきなり目を見開く。



え、何?!



私、変なもの付いてる?!



私があわてて顔をぺたぺた触ると、山本さんは驚いたように言った。



「骸ー、どうしたこんなとこで!」



「いまさらー??!」



まさか変態ナッポーの存在を今まで無視していたとは…

私でさえも変態ナッポーの存在は認めていたのに…!

おそるべし、山本ワールド…!!!



そして山本さんは更に言葉を続けた。



「昼寝かー?」



「嘘ー??!」



私には山本さんの考えにはついていけません…!!

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あきゅろす。
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