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Vongole Company
045天性の才能
「まさに天性の才能だな」



リボーンさんの言葉。

これはもちろん褒め言葉ではない。

私を馬鹿にした台詞であります。



とりあえずやることになってしまった銃撃練習。

地下にあるトレーニングホールなるコンクリート壁の部屋に連れてこられた。



全身全霊で30分間も拒否したのに、最終的には



「早くやりやがれ」



の一言で黙らされた。



やっぱり人間、自分の意思通すより命の安全の確保だもの!!

銃口を額に押し付けられたらね、もう私に抵抗権はない。

自殺したくなったらリボーンさん怒らせよう。



さてさて嫌々ながら始めた銃撃練習だったけれど。

意外にも私の才能は大輪の花のように咲き乱れ……



「逆の意味でな」



リボーンさんの突っ込みが聞こえる。

コノヤロウ、私の心の中にまで入り込みやがって…!!



「あの的狙って撃ってみろ」



「……了解です」



リボーンさんが指さす方には弓道とかでよくある的。



え、ちょっと、ちっちゃくない?




「リボーンさん」



「なんだ」



「的に当てたら褒めてください」



「殺されてーか」



「ゴメンナサイ」



いや、私褒められて伸びる子だからさ…!!

そう言うとリボーンさんは



「伸びる見込みがねぇ」



と鼻で笑った。



くっ、よく分かってらっしゃる…!!



ごたごた言ってねーでさっさと撃て、



とリボーンさんに睨まれたため、それとなく銃を構えた。

見様見真似、ってやつ。

片手で撃とうと引き金を引きかけたとき、リボーンさんの手が私の手をパシンと叩いた。



「な、なんですか!!」



「構えがなってねぇのは無視しといてやる、けどお前に片手撃ちは無理だぞ」



いろいろと突っ込みたい……!

けど我慢だ、私!!

どんなにムカついてもこの人には逆らっちゃ駄目だ…!!



けど一つだけ。

反抗させてください、リボーンさん。



「銃って片手撃ちじゃないんですか?」



私だって出来ますよ、と再びで片手で銃を構えると後ろからリボーンさんから馬鹿野郎、とげんこつを頂いた。

ウゥ、痛い…!!



「悠南、お前握力言ってみろ」



「……19と20です」



「小学生か」



んな握力じゃ両手でも銃をコントロールできねぇかもな、と意地悪く笑われる。


握力弱いのはしょうがないじゃないか…!!



リボーンさんの発言で殺意が芽生えた私だったけど、我慢。

我慢よ、私…!!



おとなしく両手で構える。

そしてぼんやりとだが的を狙った。



―パン



乾いた音が手に持つ銃から出た。



ワォ、手が痺れる☆



痺れた手を軽く振りながら的を見る。

すると…



「あ、当たってる…?!」



「…上手いじゃねーか」



リボーンさんにくしゃくしゃっと頭を撫でられる。

たしかに的に!!

中央ではないけど的に当たったよ、私!!



私は満面の笑みでリボーンさんを振り返った。



「的に当たったから終わりですよね、リボーンさん!!」



うん、当たったからいいよね…!!

別にヒットマンになるわけでもないし、元から銃なんて使えなくてよかったんだけどさ…!!



私の笑みに微笑み返すリボーンさん。



よし終わりだ☆

と確認したいのは山々なんだけれども。

残念なことにリボーンさんの微笑みにどす黒いものが見えるのは私だけ…?!



「何言ってやがる、ど真ん中に当てるまで終わるわけねーだろ」



「デスヨネー」



や っ ぱ り ! !

リボーンさんはそんな甘い人ではないよね、うん



心の中で大号泣しながらまたしても拳銃を構えた私。



「中央、中央……」



そう呟きながら引き金を引くと、また乾いた音が。

的を見ると……



ん、あれ?



的どころか前方の壁には傷一つ付いていない。



「おかしいな…」



「本当だな」



首を傾げながら言うと返事が一つ。

振り向けばリボーンさんが―



「ど、どうしたんですか頬の傷!!」



頬に赤い血が滲んでいる。

なにかが掠ったらしい。

リボーンさんは嘲笑を含んで口を開いた。



「てめーの銃弾だ」



「…は?」



見れば私より後ろの壁の一箇所に小さな傷が。

的より正反対…なはずなのに…!!



「な、なぜ??!」



「まさに天性の才能だな」



リボーンさんは何か書類に書き込みながら言った。



ぜ、全然嬉しくない天性の才能ですこと…!!

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あきゅろす。
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