[携帯モード] [URL送信]

Vongole Company
005黒髪のお兄さん
痛いほどの沈黙。

それぞれの視線が私に突き刺さっていて。



いやー、私逃げたいぜ



チキンとか遠慮とかそういうことを忘れて、私は彼等の顔を前から見渡していた。



開き直るしかないじゃん、うん



「おぉ、元気になったのかー



良かったのな」



気まずい沈黙が流れる中、いきなり扉が開いて、爽やかな青年が私に手を挙げる。

全員の視線は一斉に彼へ。



助かったー…

っていうか、元気になったのか、って?

私、この人と会ったことあったっけ?



ん、よく見ればあの黒髪……



「あっ、あの時の!」



私がVongoleの前で倒れたときに大丈夫か、と声をかけてくれた人。

いわゆる私の命の恩人。



「その節はお世話になりました!」



「ハハッ、気にすることないぜ?



ちょうど俺も出掛けるとこだったし」



お礼を言うと、爽やかな笑顔で返された。



ブラボーだっ、この人!!



「で、こんなとこに集まって…



みんな何してんだ?」



状況が分かってない黒髪のお兄さん。

あ、この人天然?



「新しい居候を紹介していたんだ」



隣にいたおじいちゃんが口を開く。

その言葉を聞いて



「あ、そうなんですか」



と軽く驚き、私に近づいてきた黒髪のお兄さん。



この人、フレンドリーだなあ…



「俺は山本武。



よろしくな」



差し出された手は大きかった。

なんかマメが多い気がするけど…

何かスポーツをやっているのだろうか。

でも笑顔で手を差し出す山本さんは素敵だった。



「悠南です。



よろしくお願いします!」



私も名乗り、手を握る。



嗚呼、山本さんもイケメンだ…

あれ、そういえば。



山本さんがやってきたことにより、他の美麗集団の存在を忘れていた。

ふと見てみると、全員が私と山本さんに注目していて。

その様子を見て



「ん、みんな悠南に自己紹介したのか?」



と山本さんは言い出した。



恐るべし、山本ワールド……!



「みんなも武くんのように自己紹介したらどうかね?」



「ツナ、お前一応次期ボスなんだから最初に挨拶しろ!」



おじいちゃんと家光さんが便乗するように言った。

うん、その間私と山本さんは手を繋ぎっぱなしです。
っていうかボスって何よ?

マフィアみたいな言い方しないでよね、家光さん。



内心突っ込みを入れていると、美麗集団の中から一人、前に出てきた。



茶髪で少し凛とした感じの―

一目でこの人が家光さんの言っていた



次期ボスのツナ



って人なんだと分かった。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!