Vongole Company
042爽やかな言葉
「悠南と獄寺な、ずっとその調子でじゃれてたぜ?」
ちょ、山本さぁぁぁん!!!!
ね、それ思いっ切り誤解招く言動なんですけどォォ!!
ほら、綱吉さんのブラックスマイルのブラック感が濃度を増している…!!
さらには、俺の入る隙なんてなかったのな、とまで言い切り、また背を向けてしまった。
ナンテコッタイ、山本さん…
今回ばかりはあなたを恨ませてください…!!
綱吉さんは笑顔のまま私と隼人さんを見ている。
俯せから顔を上げたままの私と、私の腰に湿布を貼ろうとして手を私の腰に付けたままの隼人さん。
隼人さんに至っては手を退かそうなどという思考が働かないほど追い詰められているらしい。
そりゃそうだろう、
私だって動けないもの…!!
ニッコリと笑ったまま綱吉さんは口を開いた。
「隼人」
「はっ、はぃいい??!」
柄にもなくテンパる隼人さん。
でも当たり前だよね…
なにしろ綱吉さんのブラックスマイルを直視してんだから…!!
隼人さんの返事を聞き、さらにクスリと笑みを深める綱吉さん。
残念なことに私の体感温度はどんどん下がっている。
極 度 の 緊 張 と 恐 怖でね!!
「一ヶ月分、給料無しね
あと一ヶ月間は悠南に近付かないこと」
いいね?
とサラリと綱吉さんは酷な条件を口にする。
一ヶ月給料無しって……
ただ働きぃいっ??!
隼人さんはキュッと拳を握りしめた。
表情は見えないけれど、全て自分のせいだという顔でもしているだろう。
私と隼人さんにとっては不愉快きわまりないけど、周りから見ればいちゃついてるように見えたということは。
必然的に私にも原因がある。
体の痛みを訴えたのは私だしね…!!
「ちょ、綱吉さん…!!」
「何?」
私の言葉に顔を向けた綱吉さん。
なんとか綱吉さんに処分を取り消してもらおうと勢いよく起き上がる。
途端に隼人さんの小さな、突発的な焦った声が頭上で聞こえた…と思ったら。
「馬鹿、お前…!!」
私の額になぜか暖かい感触が。
そして小さなリップ音。
……えっと、私が起き上がったときに私の腰に置かれていた隼人さんの手。
湿布を貼ったあとも力を緩めることなく隼人さんの手は私の腰に体重をかけていて。
私が勢いよく起き上がった拍子にズルッと手が滑って、私の頭と隼人さんの頭がこんにちは、と。
そして場所悪く隼人さんの唇が私の額に……
って、ん?
隼人さんの…
く ち び る ?
ようやく状況を理解した私は綱吉さんに絞め殺されかけている隼人さんを尻目に意識を手放した。
うぶな私にはこんな体験今まで…
アリエナイ!!
悠南が倒れた後の男たち。
「今のは事故です、十代目ぇ……」
「隼人、半年間外国で任務にしようか?」
顔を真っ青にしながら言う隼人に笑いながら返す綱吉。
目はまったく笑っていないが。
「ハハ、衝撃的だったのな
んじゃ俺、悠南運んでくるぜ?」
「いい、山本。
俺が運ぶ」
山本の申し出を断り、綱吉は悠南を抱き抱えた。
山本はその様子を見てニカッと笑う。
「ツナ、悠南に優しいのな!」
「まぁな」
(優しいとかじゃなくて独占欲に決まってんだろ……!!)
どこまでも鈍感な山本と笑いながら返す綱吉に内心で鋭く突っ込む隼人だった。
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