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Vongole Company
004痛い沈黙
扉の中―そこには…



若い男の人が十人ほどいました。



え、何、この美麗集団、え、これ幹部?



私は軽い脳内パニックに陥りつつ、車椅子を押す。



とりあえず家光さんの前までおじいちゃん連れてかなきゃね、うん

あと痛いほど視線が突き刺さるなあ

ちょっとその視線、自重していただけません?



なんて彼等に言えるはずもなく、ただ彼等の間を通っていく。

おじいちゃんは何も言わない。

幹部さん(美麗集団)たちも何も言わない。

視線だけ私っていうね、

私ドンマーイ☆



幹部さんたちがどっかのモデルですか、っていうくらいカッコイイのは分かったんだけど…

私、チキンだからね、

もう顔は上げられません。



いつの間にやら家光さんの前に着いたようで。



「お疲れだな、悠南!」



はい、お疲れです、私。

場違いなようなので、おじいちゃんの車椅子にブレーキをかけてそそくさと出口に向かう。



いやー、私…

幹部の人とは関わらなくていいや



なーんて逃げながら。

しかしあっさりとおじいちゃんに止められる。



「何処に行くんだね、悠南



君を幹部に紹介するために連れてきたんだよ?」



あ、すいません、私のためでしたね、そうでした



おとなしくおじいちゃんの前にトボトボと戻る。

私が行ったりきたりする間、彼等の視線は全て私に注がれているようで。



自意識過剰?

ううん、あなたも体験すれば分かる。



重い足取りでおじいちゃんの横に立つと、おじいちゃんは私に微笑みかけた。



嗚呼、おじいちゃん…!

私、おじいちゃん大好きです…!



そんなことを思っていると、おじいちゃんは彼等に向かって口を開いた。



「急に呼び出してすまなかったね…



実は、新しい居候をみんなに紹介しようと思ってね」



おじいちゃんは少し威厳のある感じで言った。

やっぱり社長だなー…なんて思ってしまう。

それ以前に単なる居候が幹部に紹介されるってどうなのよ?



ぼーっと突っ立っていると、おじいちゃんが隣から視線を送ってきた。



あ、私、自己紹介しなきゃだよね



俯いていた顔を前に向ける。



やっぱりイケメンばっか…



なんて思いつつ、とりあえず名前を名乗ることにした。


「えーっと…



お世話になります、悠南です。



よろしくお願いします!」



最後に頭を下げた。

うん、私としては上出来な方。

なのに…



なのにーっ!



その沈黙…痛いよ

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