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Vongole Company
020
僕は自分の部屋に着き、ソファに座った。

それから自分の右手を見つめる。

開かれたままの手。

この手でさっき、



じゃんけんで一人勝ち



したのだ。



なぜじゃんけんに参加したのか。

自分でもよくわからない。

リボーンと六道骸が6号室の部屋の取り合いをしていたのを見ていた僕。

寝ているフリをして実は内容は聞いていた。



群れるやつは嫌い―



そう思いながら。

話を聞いていたら本当の殺し合いになりそうだったから、僕も参加しようと思った。

向かいの部屋がどうのこうのじゃなくてただ



―咬み殺すため。



でもなぜか僕の提案はあの新しい草食動物に無視された。



ワォ、僕のこと無視する気?



と思ったけれど黙っておいた。



そのあとうるさい草食動物が「じゃんけんが公平だ」と言い出したから、僕は再び目を閉じた。

殺し合い以外に興味はないからね。



「きょーくげんじゃんけん」



そんな掛け声どうでもいいから早く終わらせてくれない?



僕はすっかり飽きて今すぐにでも出ていこうと思った。

でも草食動物のボスの九代目の目が光ってる前では僕も身動きできない。

あの老いぼれ、なかなかやるからね。

だから目を閉じたまま早く終わるのを待っていた。



「じゃーんけん…」



僕はうっすらと目を開けた。

目の前でリボーンと六道骸が真剣な顔で出す手を決めていた。



「ぽんっ」



とっさに僕は手を出す。

自分でも無意識のうちに。



結果は―

勝った。



僕のことを無視した女が僕を見てきた。



…別に君の向かい部屋になろうと思ったわけじゃないんだけど。



むしろ群れたくないんだけど。



でも僕の口から6号室を他人に譲るという言葉は出てこない。



…なんで?



自分にいらついた僕はさっさと部屋を出て今に至る。

6号室に移動するのは明日だ。



…咬み殺したい、あの草食動物



無意識にある草食動物のことを考える。



雲雀が咬み殺したいと思った草食動物は…



他でもない、悠南だった。

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あきゅろす。
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