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Vongole Company
002おじいちゃん
「…悠南!! 悠南!!」



誰かが私を呼んでいる。

ぼーっとした意識の中で男の人の声が頭の中に響いた。



「家光……さん?」

「気付いたか、悠南!!」



うっすらと目を開けると少し見慣れない天井で。



ここはどこだろう…?



と確認する間もなく声の主の家光さんが私を抱きしめた。

嗚呼、やっぱりここは……



「ボンゴレ…」



私の行きたかった場所、Vongole。



「家光さん、そんなにくっついていては悠南も困るでしょう」

「おぉ、そうだなオレガノ!

すまん、悠南」



家光さんが私から離れる。

やっぱり家光さんは家光さんだ。

思わずくすりと笑みがこぼれる。

そして、1番会いたい人を思い出した。



「おじいちゃん…?!」

「どうしたのかね、悠南…」



慌てて寝かされていたソファから起きると、部屋の隅から穏やかな声が聞こえた。

ハッと顔を向けるとそこには―



「おじいちゃん!!」



穏やかな笑みを浮かべたおじいちゃんが居た。

思わず駆け寄って抱き着くと、おじいちゃんは笑って頭を撫でてくれる。

そう、この人たちこそ―

私にとっての家族に1番近い存在。





Vongole Company…

それは私の目の前にいるおじいちゃんが社長を勤める、

世界最大の伝統ある会社。

いろんなものを開発したり、研究したりしていて



世界のVongole



と呼ばれている。

医療品、食料品、スポーツ用品…

なんでも作っているこの会社。

私は両親と共にマフィア御用達の戦闘武器を注文しに一年に一度はここに来ていた。

といっても私は武器のことなんて分からないから…

ここの社長さんを勝手に



おじいちゃん



と呼び、おじいちゃんの秘書の人たちとよく遊んでもらっていた。





「さて悠南…

今日はどうしたんだね?」



ご両親は、とおじいちゃんは言った。

私は正直に家出をしてきたことを伝える。



「あの…

家出してきたの」

「…!」



おじいちゃん、家光さん、オレガノさんは張り詰めたような顔をした。

しかしすぐに



「まあ、あの両親なら家出して正解だわな」

「なんて無責任なこと言うんですか、家光さん!」



笑い飛ばす家光さんをオレガノさんは咎めた。



あ、やっぱりこの二人…面白い



私がくすりと笑うと、おじいちゃんも微笑んだ。



「あの両親の下では大変だったろう…

今日からは、ここを家だと思いなさい」

「うん!」



おじいちゃんは笑って私を認めてくれた。



やっぱりいいよね―

これでマフィアとなんかサヨナラだ!



この時は知らなかった。

この穏やかなおじいちゃんが―

世界最大の会社社長以外にもう一つ…

世界最大のマフィアボスなんていう顔を持っていたなんて!

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あきゅろす。
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