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Vongole Company
016配慮しない男
「………ふぅ」



全力で走って広間の扉の前に着く。

私に手を引かれた状態でイーピンちゃんも横に立った。



「息切れてないね、悠南ちゃん」



何かスポーツやってるの?

とイーピンちゃんは聞いてきた。



あ、うん、一応スポーツっていうか…

それなりには。



心の中で答えたが、あえて口には出さずにしておいた。



「イーピンちゃんも余裕そうだね」



「スポーツは得意なんだ!」



あはは、とイーピンちゃんは笑う。



嗚呼、可愛いっ…!



私の変態心が歓声を上げるが黙っておく。

そしてある人がいないことに気付いた。



「あれ、リボーンさんは…?」



―ピーン 1Fロビーでございます



「……ん?」



何やら若い女性の声が……

気のせいか、うん



そう思ったときに少し離れた扉からリボーンさんが出てくる。



「なんだおめーらまだいたのか



早く入れ」


「リボーンさん、一体どうやってここへ…?」



「エレベーターだ」



隠すこともなく言うリボーンさん。



あの、あなたには他の人もエレベーターに乗せてあげる、とかそういう配慮は…



できませんよね、すみません。



一人で内心ノリツッコミを繰り返す私を不審そうに見ながら、リボーンさんは私に向かって軽く銃を構える。



「早く入りやがれ」



「…はい」



銃を出されては私に勝ち目はない。

イーピンちゃんの腕を再び握り、扉を開ける。

リボーンさんに銃を向けられつつ会話をするより、広間で遅刻の謝罪をした方が幾分マシだ。



「おお、来たね、悠南」



1番に私に声を掛けたのはおじいちゃん。

怒ることもなく笑ってくれている。

他の幹部さんも笑って……いない人もいる。



隼人さんに雲雀さん。



この二人は簡単に許してくれるはずはないと覚悟はしていたさ…!

……実際にキツイ視線を向けられるのは辛いけど。


私がおじいちゃんの横のソファに座る。

イーピンちゃんも私の横へ。

他の人も一つのテーブルを囲むように座っている。



「さて、悠南も来たことだ。



部屋割りを決めようか?」



おじいちゃんの言葉に軽く頷く幹部さんたち。


…ぶっちゃけ私、



地下牢でも生きていけるような…



だって、だって、だって…!!



こんな幹部さんたち(隼人さんと雲雀さん)と一緒の階に住むって…!!



毎日のストレスで胃に穴が開きそうです、おじいちゃん。



そんな願いを込めながらおじいちゃんを見ると人の良さそうな顔で笑い返される。



うー……

おじいちゃんのその顔には敵わないなぁ…

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あきゅろす。
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