Vongole Company
137社内見学
「いらっしゃ〜い、悠南ちゃん♪」
「ははは…こんにちは、白蘭さん」
結局、私は桔梗さんという美形に連れられて白蘭さんの会社にやって来ている。
白蘭さんって会社の社長だったのか、とかいろいろ思うことはあるけど、とりあえず私の安全は保障されてるみたいだ。
なにしろ私と一緒に会社に来た人は隣の人物なのだ。
まあ虫の居所によっては私もかっ消される、うん。
「XANXUS君もこんにちは〜、君が来るのは意外だったな」
「っせえ」
「じゃあこれから会社を案内するね、ついて来てー」
この人たち会話になってないんですけど…!!
白蘭さんに連れられるままに私たちは会社内を歩きはじめた。
これじゃただの社会科見学だ。
あらかた社内を見終わった私たちは、応接室のような場所に通された。
ふっかふかのソファにこちらが目眩を起こしそうな高層ビルからの眺め。
そういえばなんでここにいるんだろう、と思っちゃいけないことを思っていると隣から容赦のない暴力を振るわれた。
「アイターッ!!」
「なにぼけっとしてやがる、用が済んだんなら帰るぞ」
「用が済んだのかどうかもわからないんですもん、白蘭さんは『ちょっと待っててね〜』とか言っていなくなったままですし」
「すみません、白蘭さんはもうすぐ戻ると思います」
白蘭さんの真似を披露しながらザンザスさんに口答えしていると、カチャリと扉が開いて優しげな笑顔を浮かべた可愛らしい女の子が入ってきた。
手にはティーカップが載せられたお盆。
この会社の秘書さんか何かだろうか、いやでも秘書さんにしては随分と小さいような…?
はいどうぞ、と目の前のテーブルにティーカップを載せてくれた女の子にお礼を言うと、女の子はニッコリと笑った。
花のように笑う子ってこの子のことだろ、オイ…!
「あなたが悠南さんですね。お話は入江さんやスパナさんから聞いています」
「え!?正ちゃんさんとかここにお勤めで!?」
「はい、そうです」
「あれ、ユニちゃんがお茶出してくれたんだ、ありがとね〜」
正ちゃんさん達がここで働いてるならぜひ見たかった、なぜ社内を見回っていた時にいないんだ正ちゃんさん…!
女の子とお話をしていると、白蘭さんがマシュマロの袋を抱えて戻ってきた。
またマシュマロか、あんた。
口に出して言えるはずはなく、ただじっとマシュマロの袋を見つめていると、白蘭さんはガサガサと袋を開けてこちらに差し出した。
「皆で食べようかと思って持ってきたんだ、よかったらあげる」
「あ、こりゃどうも」
「白蘭さんそんなにマシュマロばかり食べては糖尿病になりますよ」
「もうユニちゃんってば頭カタいな〜♪」
この女の子はユニちゃんというらしい。
ユニちゃんはザンザスさんの前にもティーカップを置き、お盆を胸に抱えた。
何歳も年下なのに大人びて見えるよ、ユニちゃん。
「それじゃあ白蘭さんの分もお茶を持ってきますね」
「本当?ありがと〜、ユニちゃんも一緒にどう?君、あんまり同年代の女の子と話したことないだろうから悠南ちゃんと話してみなよ」
「…悠南さんに迷惑じゃないでしょうか」
「え?あ、いや、私は全然!むしろユニちゃんみたいな子とお友達になれるなんてバッチコイで」
「黙れドカス!」
「痛っ!!」
パッと笑ったユニちゃんは、弾んだ足取りでお茶を用意するため応接室からでていった。
若干興奮してしまったことは謝るけども、何もそんな全力で叩くことないじゃないかザンザスさん…!
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