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Vongole Company
136新手の美形
壺が割れた。

幹部さんが食事をしたりする広間は高層ビルであるボンゴレ寮の一階にあるわけで。

一階と言えばもちろん玄関があって。

そこにはいろいろと高そうな陶器やら花やらが飾られて………いた。

過去形になるのはしょうがない、だってもう原型がない破片になってるんだから。

現場を見て、バラバラになった陶器の破片が散乱する床を唖然と眺めるしかない。

あれ、口が閉まらない。



「………悠南」

「ははは、おはようございます、雲雀さん。何があったんでしょう、むしろどうしてこうなった」



一人そこに佇んでいた雲雀さんから声を掛けられた。

悲惨な床に目を向けたまま答えると、続けてまた雲雀さんの声。



「誰なの、こいつ」

「は?……え」

「ハハン、こんにちは悠南様」

「は、ははん?」



誰だ、この美形。

雲雀さんに尋ねられて思わず顔を上げると、どこからか違う声がした。

少し体を傾けてみると、雲雀さんの影になるようにして一人の男の人が立っていた。
うん、やっぱり美形だ、そして誰。



「知り合いかって聞いてるんだけど」
「いやいや違いますって!私このタイプの美形に知り合いいないですもん、初めましてですよ……ね?」

「ええ、貴女と私はね」

「ホラ!」



私の記憶力はちゃんと正しかった、あの美形さんも認めてくれてるし!

どうだ、と雲雀さんを見てみれば雲雀さんはいまだにこちらをジトッと見下げていた。

顔が地味に近い、近いよ…!



「じゃあなんで名前知られてるの」

「名前?そりゃあ……え、名前?」

「思いっきり悠南様とか呼んでたけど」



私の個人情報が漏れていたということか…!?

変わらず傍に立ってこちらを見ている美形さんを振り返ってみると、ニコッと笑顔を返された。

ちょ、美形の微笑みとか心臓に悪すぎる…!

一人でバクバクしていると、雲雀さんが私の目を手で覆った。

ピトッと背中に雲雀さんの温もりも感じる。

真っ暗で何も見えないけど、これって雲雀さんとかなり密着状態じゃないかな、いろいろ緊張する。

ひたすらに黒い視界の中、上から雲雀さんの声が聞こえてきた。



「悠南に何か用なわけ、咬み殺すよ」

「おや、さきほどまで随分遊びましたがまだ足りませんか?」

「……質問に答えてくれないかな、僕もそこまで気は長くないんだよね」

「白蘭様のご命令でお迎えに上がりました」



聴覚をフル活用して聞き取った会話。

会話中の雲雀さんの、そして美形さんの表情は分からないけれど。

確実に分かったことはある。

白蘭様って……『あの』白蘭さん?

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あきゅろす。
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