Vongole Company
134不機嫌な彼
沈黙続くエレベーター内。
ちょ、本当に最上階遠い…!
視線を無駄に彷徨わせ、エレベーターのドアを見たままジッと耐えていると後ろから声がした。
もちろん会話相手は…私らしい。
「そういえばさ」
「…はあ」
「悠南宛に手紙届いてたよ」
「え?」
何気ない口調で言ってきた綱吉さんに思わず振り返る。
手紙貰うようなこと何かしたっけ、ネット通販とかもやってないし、文通するような風流な相手もいないし…。
まったく身に覚えのない私がポカンと口を開けて首をかしげると、綱吉さんが近付いてきてバシンと頭を叩かれた。
痛いぜ、コノヤロウ…私だって女の子なんだ!
「女の子に暴力反対」
「「どこに女がいる」」
「そこでハモるってどういうことですか」
即答してきたのは綱吉さんだけでなく、ザンザスさんも一緒だった。
一体私を何だと思ってるんだこいつらは…じゃなくて、このボスさんたちは。
そんな何気ない、けれども私の心に大きく傷を作った会話をしているといつの間にか最上階にエレベーターが着く。
チーン、というまた軽快な音がして扉が開き、とりあえず私はボタンを押したままボスさん二人を先に出させた。
これがエレベーターでのマナーってやつらしい、獄寺さんがいつもやってるのを見ていたから真似してみた。
「じゃあ明日にでも手紙渡すわ」
「分かりました、でもその手紙は今どこに?」
「ココ」
「…は?」
先に最上階の廊下を歩いていた綱吉さんは、ひらひらと手を振りながら言った。
その言葉に頷き、疑問に思ったことを聞いてみると綱吉さんは恐るべきところを指さした。
ココってあんた………
「なんで綱吉さんの部屋に!?」
「ほら、爆薬とか入ってたらヤバイじゃん」
「…プライバシーの侵害で訴えてやりましょうか」
「上等」
や っ ぱ り 勝 て な い 。
最後にとっておきのブラックスマイルを振りまいて部屋に入った綱吉さんを茫然と見送ると、すぐ後ろからやってきたザンザスさんに声をかけられた。
「おい」
「はい?…って痛い!なにするんですか!」
振り向いた途端にまさかの暴力。
たぶんザンザスさん的には軽く頭を叩いたつもりなんだろうけど、残念なことに鋼の頭を持っていない私にとっては十分に頭が割れそうなほどの力である。
私の頭を叩いたザンザスさんはそれでも気が済まなかったらしく、最後に私にチラリと視線を向け一言。
「…ドカスが」
そしてパタンと自室の扉を開け、廊下に取り残されたのは私一人。
あれなのか、私はザンザスさんになんらかの八つ当たりをされ…!?
いまだに頭は痛いし、最後にザンザスさんに鋭い睨みをされたことも気になるし、私は心休まるはずのベッドの中でもなかなか休むことができなかった。
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