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Vongole Company
130神よ仏よ
「…そういえば皆さんはなんで商店街いたんです?」


車から降りていった私とクロームさんを骸さんは出迎えてくれたけれど、他にヴァリアーのメンバーがいるのは予想外だったらしい。

一触即発に近い雰囲気を感じ、私はあわててヴァリアーの全員を自分の部屋へ連れて来たのだ。

ああ、私の部屋ってこんなに狭かったっけ。


「沢田綱吉に呼ばれたのと、もう1個お祝いー」
「お祝い…?」

私のお気に入りクッションをもてあそんでソファに座るベルさんの言葉に、疑問を返す。

お祝い、ってなんだろうか。

雲雀さんの婚約のお祝いかな、とも思ったけれどよく考えればベルさんたちは雲雀さんの婚約を知らなかった。

頭を抱える私に、スクアーロさんは疑いのまなざしを向けてくる。


「お前本当に知らねぇのかぁ?」
「何をですか?」
「まあまあ、今夜あたりに知るから私達は黙っときましょ」


ルッス姐さんの意味深な言葉もあり、私はとりあえず考えることをやめることにした。

いくら考えてもしょうがないんだ、きっと。

それよりこの流れで部屋に連れ込んでしまったヴァリアーの人たちをどうにかせねば…!

一人用のソファにどっかり座り脚を組んで座るザンザスさん。

その傍らで腕を組んで仁王立ちのレヴィさん。

二人掛けソファに隣同士並ぶベルさんとマーモン。

最後に私を挟むようにベッドに腰掛けているスクアーロさんとルッス姐さん。

フランくんは変態ナッポーこと骸さんと話してます、とか言って下でお話中だと思われる。


「とりあえず下に行きません」
「なんで」
「嫌だよ」


提案を言い切る前にベルさんとマーモンにばっさり切り捨てられ、私は下を指差したままの手を止めて硬直。

何もそこまで否定しなくてもいいじゃないか。

そこで私はハッキリと気付いたことがある。

よく考えれば空き部屋とかたくさんあった、ここ…!

私や幹部さん、京子さんたちの部屋は最上階にあり、その下の階からはVongole Companyの社員さんの部屋がある。

最上階は空き部屋がたくさんあるのだが、他の社員さんは絶対に引っ越してこない。

そのためいつも空き部屋なわけで、ヴァリアーの人たちにはそこを使ってもらおうと考えた。

花さんが来るからその分の部屋は空けておく。


「よし、じゃあ皆さん今晩泊まるんですよね?」
「一応そのつもりよ♪」
「なら部屋に案内します」
「シシッ、俺悠南の部屋でいいんだけど」
「私がよくないです」


ベルさんがクッションを抱きしめたまま言うのを全力拒否し、パンパンと手を叩いて立ち上がる。

部屋を勝手に貸し出しても多分大丈夫だとは思う。

綱吉さんやリボーンさんの素晴らしきブラックスマイルタッグに押し潰されそうになったらスクアーロさんに責任転嫁しよう。


「…悠南なんの真似だぁ」
「…いえ、スクアーロさんに御多幸あれ、と思いまして」
「う゛ぉおい…」


スクアーロさんを神よ仏よ、と拝んでいると立ち上がったスクアーロさんが私を不審げに見下ろす。

慌てて首を振って答え、私はヴァリアーメンバーを率いて部屋を出た。


「にしても高いわね、ココ」
「最上階ですからね、私としてはもっと地上に近い安全な場所望みますけど」


興味津々、といった様子で窓から外を見るルッス姐さん。

そういえばザンザスさんとここに来てからまともに喋っていない。

あといつもザンザスさんと一緒にいるレヴィさんとも。


「レヴィとなんて話さなくても全然大丈夫だよ、悠南」
「…また読心術ですか、マーモン」
「シシッ、レヴィと話したらお前にまで変態臭移っちまうからやめろよ」
「貴様らという奴はっ…!」


どうやらレヴィさんは弄られキャラらしい。

…弄られキャラといってもベルさんが本気で嫌そうな顔でレヴィさんを見てるなんて私は信じない、信じませんよ。

確認してみれば、空き部屋は男女それぞれ十室くらいある。


「男性はあっち側で女性はこっち側の部屋に泊まってください」


私のその言葉にずっと無言のままいたザンザスさんは、自分の1番近くにあった部屋に何も言わずに入っていった。

続いてレヴィさんもそのすぐ隣の部屋へ。


「ザンザスさん機嫌悪いんですかね?」
「いや、物を投げつけてこないから大分機嫌いいと思うけど」


心配になってザンザスさんが入っていった部屋のドアを見ていると、傍らのマーモンは「特に気にする必要はないよ」と薄く笑う。

そっか、と私も安心すると後ろから声を掛けられた。


「ねぇ、悠南ちゃん」
「はい?」
「女の子の部屋で1番壁紙とかが可愛らしいのはどーれ?」
「………え?」
「おいオカマ、お前こっちだから」


真剣に女性側の部屋のドアを開けて吟味するルッス姐さんに私は唖然。

いや、ルッス姐さんの乙女な気持ちは否定しないけど…!

いつものように笑いながら暴言交じりで指摘するベルさんの言葉に、妙な説得力を感じた。

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あきゅろす。
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