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Vongole Company
129秘密の婚約
「で?なんでこんなとこにいたワケ?」
「お昼を食べに…ですね」


何コレ、強制尋問じゃないか。

ヴァリアーの方々と感動的、とは言わずとも再会した私。

そしてすぐにクロームさんも見つかり、ただいま黒塗りベンツの後頭部座席。

隣はXANXUSさん。

クロームさんとはなぜか席が離れてしまった。

質問をしてきたベルさんは「メシ食いに商店街かよ」と鼻で笑う。

いや、あのそれよりなんでヴァリアーがこっちに…


「沢田綱吉に呼ばれてね」
「…読心術かい、マーモン」
「僕にとっては造作もないことだよ」


聞こうと思っていたことをサラリとマーモンに答えられ、私は少し冷静な目でマーモンを見た。

こういうことに驚かなくなったって免疫ついたってことかな。


「ボスに呼ばれて…?」


黙っていたクロームさんが少し首を傾げるように聞く。

私たちのリアクションがおかしかったのか、ルッス姐さんが口に指を当てて呟いた。


「あらぁ…この子たちは聞いてないのかしら?」
「何をですか?」


間髪入れず問うと、ルッス姐さんは「ふふ」と笑うだけで口を開くことはなかった。

他の誰に聞いても言う気配はなく。

はぁ、と諦めのため息をつくとスッカリ忘れていたことが蘇り思わず私は叫んだ。


「あっ!」
「黙れドカスが」


隣にいたXANXUSさんにまさに光の速さで頭を軽く叩かれながらも、私は口を開いた。

ずいぶんと私もタフになったよ、うん。


「XANXUSさん痛い!
そういえば皆さん、雲雀さんって婚約してるんですか?」
「え」
「は」


その言葉にヴァリアーの面々は顔を一斉に悠南に向けた。

前髪で目が隠れ、表情が上手く見えないものの明らかにびっくりした様子でベルが口を開く。


「え、それ…マジ?」


どうやらヴァリアーの皆さんも知らないらしい雲雀さんの婚約疑惑。

もしかしたらまだ広めてはいけなかったのかもしれない、雲雀さんごめんなさい。

なんでなんでと聞いてくるベルさんに半ば呆れつつも理由を話す。


「だって部屋に指輪が…」
「指輪だあ?」


長い脚を組んで聞いていたスクアーロさんが、片目だけ開き私の言葉を繰り返す。

ベルさんは意外そうに笑った。


「シシッ、あの雲雀恭弥が結婚かよ」
「まさかあの子に結婚を先越されるなんてね」


いや、あんたら結婚願望あんのかい。

ルッス姐さんの言葉に心の中で突っ込みつつ黙っておいた。

ここで口に出してたらいろいろ危ない気がする、生命の存続が。


「…あ、着いたっぽいですよー」


のんきに外を眺めていたらしいフランくんが、頭のカエルの位置を調節しながら言う。

車から降りるときも大変そうだな、あのカエル。

そう思いながら窓を見れば、見慣れた風景が広がっていた。

車はだんだんとスピードを落とし、Vongole寮の目の前、ロータリー部分で動きを止める。

窓の外をじっと見ていたマーモンが、何かに気付いた様子で静かに言った。


「…あ、なんかいるね」


なんかって何!?

つられて再び窓から外を覗いてみると、あまり嬉しくはない光景が待っていた。

よほど暇なのかな、あの変態は。


「悠南!クローム!
無事ですか!?」


ふっさふさの房、そして長い藍色の髪を振り乱し手を振る人物の名前は。


「…骸様…」


クロームさん、ご名答。


「シシッ、うぜー」


ベルさん、その通りです。


「あ、なんだただの師匠じゃないですかー」


そうそう、ただの師匠…って


「師匠!?」
「知らなかったですかー?」


車のドアを開け、カエルを手で挟みながら降りていたフランくんが顔を上げて何事もないかのように答えてくれた。

いやいや、それは知らなかったよフランくん…!

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