Vongole Company
120悪夢、再び
花さんが遊びにくるのが今日、今日、今日…
先程から私の頭の中は「花さん本日来訪」でいっぱいになっていた。
そういえば京子さんとハルさんが「今日は夜に友達連れて帰ってくるね」と言いながら今朝出ていったような。
只今の時刻、10:30。
とりあえず花さん来訪までに時間はありそうだ。
「じゃあ…気を取り直して掃除しましょうか」
「…うん」
手にしていたフォトフレームをテレビ台の上に戻し、私とクロームさんは掃除を再開させた。
「次は雲雀さん…ですか」
K006と金色の字で細く彫られた扉の前に立つ。
了平さんの部屋を出た後、リボーンさんや山本さんや綱吉さん…様々な幹部さんの部屋を回ったものの、彼女とのツーショット写真など欠片も無く。
「ちょっとでも対抗できるネタになると思ったんだけどな」
特に某腹黒次期社長やら某片手に拳銃男にからかわれた時に「そういえばこの前部屋に…」と日頃の恨みも篭めて言い返す手段になれば、とも思ったのに。
了平さんには恨み…無いしなぁ
まぁ彼女さんと幸せそうだったからいいか、と私は思い直し目の前に立ちはだかる雲雀さんの部屋の扉を開けた。
「…雲雀さんの部屋…初めて…」
「あっ、そうなんですか?!」
興味深そうに雲雀さんの部屋を見回すクロームさんを尻目に、私は「叩き」を片手に雲雀さんの部屋の壁を叩いた。
悲しいかな、私は雲雀さんの部屋を知りつくしている…!!
流れもしない涙を堪えつつ、私は叩きをボンボンと壁にたたき付ける。
そりゃ毎朝起こすために部屋入ってれば室内覚えるわなぁ、うん
雲雀さんの部屋になんの感動も覚えない私。
だって雲雀さんの部屋には彼女さんとのツーショット写真おろか、女性と接触があった気配も感じられないことを知っているから。
…あ。
一回だけ、女性にプレゼントされたのであろう手紙とネックレスがごみ箱にぶち込まれてたのは見たことがある。
とにかく雲雀さんには隙がなくて困るぜ、と私はため息をつく。
別に命を狙ったりはしていないけど、少しでも隙があった方が何か言われたときに反撃がしやす…って、私さっきから反撃のことしか考えてねェエ!!!!
ストレス溜まってるのかな、と十円玉ハゲあったらどうしようと後頭部をさすっていると、クロームさんの声がした。
「…悠南ちゃん」
「はい!」
クロームさんがいたのは寝室。
必要最低限のベッドしか置かれていない部屋はガランとしていて散乱してる服も見当たらず、すごく綺麗な部屋。
言い換えれば殺風景とも言う。
そんな中、クロームさんは部屋の端に立ち壁の一点を指さしていた。
「…時計、止まってる」
「あ、本当ですね」
時計は不気味にも4時44分44秒で見事に止まっている。
雲雀さんの見事な殺気で時計も寿命を縮められたのかしら、嗚呼可哀相に…!!
私は寝室の扉からもっと不幸の時計の近くに行こうと足を進めようとしたところだった。
「いてっ!!」
ガツン、と見事に蹴り上げた足は雲雀さんのベッドの角にぶつかる。
雲雀さんのベッドよ、貴様…
了平さんのテレビ台とグルだなァア?!
私は数時間前に了平さんの部屋で感じた痛みを再び味わい、自らの爪先をいたわった。
地道な痛みは再び悠南を襲った!
悠南は10のダメージ!
一秒ごとに3ダメージ受けていく!
「なんて陰湿な痛みだっ…
女の子のイジメ並のネチネチさだな、お前…!!」
「…だ、大丈夫?」
恨めしきベッドの角を睨んでいると、クロームさんがパタパタと近づいてくる。
大丈夫です、と顔を上げると心配そうなクロームさんの顔、そして…
「ん?」
床の上にキラリと輝く銀色の物がありました。
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