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Vongole Company
119フォトフレーム
変態ナッポーの恐るべき収集癖が明らかになったところで、私は足元に落ちている物に気付く。

それはどうやらフォトフレームのようで、どうやら私が足を思い切りぶつけた衝撃でテレビ台から落ちてしまったらしい。

拾って戻しておかないと、と私はしゃがみ込んでフォトフレームを持ち上げる。

そして写真は確認せずにコトリとテレビ台の上にセッティングし、一息ついたところだった。

何気なく見た写真。

ちらりと見た後に二度、三度と繰り返し見てしまう。

そして一度はテレビ台の上に置いた写真をもう一度手に取った。



「了平さんと女性…?」

「…うん」



私が頭の回転が間に合わない状態でポツリと呟くと、デジカメでまた私を撮っていたクロームさんが相槌を打つ。

先程と同じようにデジカメをスッとエプロンのポケットに入れると、私の隣にそっと座った。



「花さん…京子さんとハルさんの友達…」

「花さん、ですか。」



花さんという人は、黒髪の綺麗な人だった。

京子さんとハルさんの友達…

花さんを含めた三人で並んだらさぞ絵になるだろうなぁ

そんなことを思いつつ、問題はこの了平さんと花さんの写真のことである。

りょ、りょりょりょ了平さんとは、はは花さん…腰にててて手を回して…!!

明らかに二人の関係は分かる、だけれども。

ここは一つ聞いとくべきでしょう…!



「お二人のご関係は…?」

「………」



私の質問にクロームさんは困ったように顔を赤くする。

少しの間があった後に

「…付き合ってる」

と、か細く呟き、自分のことでもないのに更に顔を真っ赤にし俯くクロームさん。



やっぱりか、うん…!!



私は妙に納得し、また写真に目を落とした。

写真の中でも了平さんは今にもガラスを突き破って出てきそうな勢いに溢れている。

隣の花さんの落ち着いた雰囲気でだいぶ緩和されているけれど。

正直言うと意外だった。

了平さんの彼女って言ったらなんかこう…

一緒になって「極限!」とか「女も拳で語り合おうじゃないか!」という感じの熱血系な女性かと思いきや。

でも了平さんと花さんはすごく合っている気もする、二人でバランスがとれているというか。



了平さん…っていうより幹部さんたちにも彼女っているんだなぁ…。

そりゃそうだね、だって人間だもの…!



雲雀さんに聞かれたら「パクリはよくないよ」と言われそうなフレーズが思い浮かぶ。

もしかしたら他の幹部さんたちの部屋にも彼女さんとの写真があるかも…?!

これは楽しみだ、と私が内心ソワソワし始めると下を向いていたクロームさんが付け足すように言った。



「…花さん、時々遊びにくるよ」



へぇ、遊びにくるんだ…!

イタリアと日本と言えど友達が二人もいれば遊びにくるよね、と納得しつつクロームさんに問い掛ける。



「今度はいつ遊びにくるんですか?」

「…今日」

「はい?

…すみません、今日耳が悪いみたいで聞き取りが上手くできないみたいで【今日】って聞こえたんですけど」

「…うん、悠南ちゃんの耳…ちゃんと動いてるよ」

「嘘ーん?!」



今日って…今日ってもしかして…



「あの…京子さんとハルさんが空港に友達迎えに行く、って言って今いないのって…」

「…花さん」

「やっぱりィイ?!」



なんてことだ、了平さんの彼女が今日いらっしゃるなんて…!!

写真を見つめたままガクガクと震える私にクロームさんがそっと肩に手を置いてくれた。



「…花さん優しいから…大丈夫」

「は、はい…」



了平さんの彼女さん、ましてや京子さんやハルさんのお友達だから悪い人ではないと分かってはいるものの…

やはり心の準備というものがっ…!!



パシャッ

震えてる悠南ちゃん…骸様のために一枚…。

「ちょ、こんなところ撮らないでくださいよ?!」

「…ごめん」

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あきゅろす。
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