[携帯モード] [URL送信]

Vongole Company
113強制連行
「ぎゃぁあああ?!」



悠南が叫ぶと同時にザンザスがスッと立ち上がる。

そしてどこから取り出したのか銃を取り出し、焦点を合わせた。



「沢田綱吉…

悠南は帰りたがっていない。

帰せ」



撃つぞカスが、とザンザスさんが吐き捨てる。

しかし綱吉さんは恐れもせず敬語もかなぐり捨て特上のブラックスマイルで返事をした。



「俺の家のペットだからな。

こんな野蛮なとこに何日も置いとけないんだ。」

「ペ、ペット?!」

「うるさいよ、ペット」



私が【ペット】という単語に反応すれば軽くあしらわれ。

んしょ、と俵担ぎから一旦降ろされ再び担ぎ上げられた。



……が。

さっきより数倍恥ずかしいんですけど!!



現状は私の膝の下と肩あたりに綱吉さんの腕がある状態。

つまり俗に言う【お姫様抱っこ】であるわけで。

目の前に見える綱吉さんの顔がブラックスマイルを浮かべながら私を見下げている。



「おおお、降ろしてください…!!」



私がバタバタと足をばたつかせると綱吉さんは私を全く見ずに前を見据えた。

そして不敵にニヤリと笑う。



「これで俺を撃てないだろ?

俺を撃とうとすれば悠南の頭をバーン、だ」



その言葉に私はあんぐりと口を開けて綱吉さんを見る。



え、普通、女の子盾にする?!

しかも喧嘩中なのに?!



ザンザスさんもザンザスさんで「…チッ」と舌打ちをして銃口を下に向ける。

スクアーロさんも信じられない、と言わんばかりにザンザスさんの横に立ち私たちを見つめた。

唖然呆然の溢れる私たちの顔を見て、一人声を出して笑う綱吉さん。



「ハハ、じゃあな!」



そう言い残し綱吉さんは私を抱えたままザンザスさんの部屋を後にする。

しかし最後にひょっこり顔を出し



「あ、他の京子ちゃんたちは後で送ってきてくれる?」



とブラックスマイル全開でザンザスさんに言付ける。

「…ドカスが!」

というザンザスさんの呟きが聞こえたような聞こえなかったような。


って、ちょっと待とうよ。



「私、むしろボンゴレに帰りたくないんですけどォォ!!!」



廊下を疾走する綱吉さんの腕の中で私は叫ぶ。

すると綱吉さんは「知ったこっちゃないよ」と私の頭上で笑い、遠くからは



「悠南、守れなくてごめんなぁぁ!!!!!」



スクアーロさんの叫びが遠くから聞こえた。



ちょっとちょっとちょっと…!!

なぜ私はこの反省も何もしていない悪魔の腕の中にいるのでしょうか…!!



そう思っている間に車に着き、私は助手席に強制的に降ろされた。

車のドアのロックを外そうと思うもなぜか外れなくて。

そうこうしてる間に綱吉さんが運転席に無言で座りエンジン音が鳴り響く車内。

そして車は静かにヴァリアーの屋敷を後にした。



さようなら、ヴァリアー…!!

そして私は綱吉さんとどうやって話せって言うんでしょうか…!!

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!