Vongole Company
112腹黒悪魔
「久しぶりだな、沢田綱吉」
「えぇ、本当に」
この空気…
重 苦 し い !
どうも皆さん、悠南です。
ただいま私はザンザスさんの部屋で寿命を縮めている真っ最中です。
朝の日差しが入り込み、明るく照らし出されるザンザスさんの部屋。
しかし日差しの量は決して多いとは言えないために窓から離れるほど暗い陰は濃くなっていた。
そんな中、部屋の中央に設置されている向かい合わせのソファーに座る人影が四つ。
ザンザスさんと私が隣り合わせ、そして目の前にはなぜか綱吉さんとスクアーロさんが座っている。
綱吉さんは恐ろしいほどのブラックスマイル、そしてザンザスさんも冷酷な目で綱吉さんを見ていて。
私とスクアーロさんは尋常ではない冷や汗をかいていた。
なんかもうね、服がぐっしょり、うん。
「ザンザス、率直に言います。
悠南を返してくれませんかね?」
「あ゙?」
綱吉さんはブラックスマイルのまま言い放つ。
ザンザスさんが睨み返せば、当たり前じゃないですか、とハハと笑っている。
ザンザスさんの睨みに隣に座る私と綱吉さんの横で直接睨みを受けているスクアーロさんの方がビビっている始末。
敬語も怖いって、綱吉さん…!!
「…それは」
ザンザスさんが口を開く。
なんだなんだ、とザンザスさんを見れば目を閉じながら彼は言った。
「…悠南の一存次第だな」
どうしたいんだ、カスが、とザンザスさんを私を横目で見た。
こっ、ここで私の意見…?!
いや、私のことなんだから当たり前だけど…!!
私はハタと顔を上げ、気まずいためチラリと綱吉さんを見る。
いや、一応喧嘩してるワケだし…!!
しかし綱吉さんはブラックスマイルを崩さず私を見つめ返しただけ。
なんの反省の色も何も感じられず、私は落胆と共に怒りを感じた。
なんだ、綱吉さん…
やっぱり私なんか居なくなろうが構わないんだ…
私が飛び出したときだって追いかけてこなかったのも私なんていない方がよくて…
ジワジワとまた涙が込み上げる。
キラリとわずかな日の光に輝く涙。
その私の涙を見たのか、ザンザスさんは綱吉さんにまた顔を向け言い捨てた。
「悠南は帰らねぇ、さっさと消え失せろ、沢田綱吉」
去らねぇならかっ消す、とザンザスさんは眼光を鋭くした。
スクアーロさんは唖然、私も「ありがとうございます、ザンザスさん…」と頭を何度も下げた。
フッと一瞬だけ、掠めるようにザンザスさんの手が私の頭を撫でた。
やっぱりザンザスさんは…優しい人だ
私がザンザスさんに頭を下げたままでいると、綱吉さんがスッと立ち上がった気配を感じた。
「…そうか、それがお前の判断…か、悠南」
綱吉さんの言葉が上から降り注ぐ。
「…失礼したな」
そして軽くため息をつき、綱吉さんが私の座る横を通り過ぎた。
…が。
あれ、何、この浮遊感…?!
気付けば私、綱吉さんに後ろから担ぎ上げられてました。
綱吉さんが笑いを含んだ声で呟く。
「そんな簡単に引き下がれるわけないだろ」
「ぎゃぁあああ?!」
なぜこの悪魔は私に執着するんでしょう、神様…!!
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