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Vongole Company
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「悠南がこのままいなくなっていいわけねーだろ」



リボーンの言葉に顔を上げる幹部たち。

しかし一際大きなため息が響いた。

唯一顔を上げない綱吉。

頭を抱え、表情が見えないものの綱吉は小さく呟いた。



「いなくなっていいワケないだろ…

でも俺はもう悠南に会わす顔が…」


そこまで言い、絶対俺のこと嫌いになったし、と顔を上げ自嘲気味に笑う。

ガタン!

木椅子が豪快に倒れる。

綱吉の様子を見たリボーンが珍しく声を荒げて吐き捨てた。



「ダメツナが!

散々悠南のこと振り回しといていなくなったら用無しか?

無責任な野郎だな」



その言葉にピクリと凍りつく綱吉。

そして骸、隼人、山本も動くことができず。

倒れた木椅子を直すこともせずにリボーンは荒々しく広間を出て行った。

広間の扉が閉まる音がいやに大きく響く。



「十代目…?」



隼人の声が静かな広間の空気を伝わる。

綱吉は頭を抱えた状態から突然頭を上げた。

希望に満ち溢れた黄金色の瞳。

本来の綱吉の瞳に戻っていた。



リボーンの言葉で俺は気づいた。

単に自分と悠南から逃げているだけではないか、と。

もう悠南はここの人間。

引きとってしまったからには最後まで面倒を見なければ。

そう、最後まで。

結婚?

俺とすればいいだけだろ。



「明日の朝、出掛けてくる」

「…は?」

綱吉は真顔で呟いたかと思えば、ツカツカと扉に向かい歩き出す。

あまりの唐突な意見に山本は思わず声を漏らした。

骸は片目を開け、静かに微笑んだまま広間から出ていく綱吉に声をかける。



「綱吉」

「ん?」



綱吉はなんだ、と言わんばかりに不機嫌そうに振り向く。

しかしいっこうに気にした様子もなく骸は変わらぬ口調で問い掛けた。

オッドアイの片目が怪しく光る。



「どこに行くんですか?」

「ああ…



悠南を返してもらいにね」



清々しいほどの黒い笑顔で綱吉は答え、扉から姿を消す。

そうですか、と骸は静かに頷き、壁に寄り掛かったまま天井を見上げた。


「やっと綱吉が動きましたね」

「…ったりめーだ、十代目はいざとなれば動くお方だ!」

「でも悠南の家出からこんなに経たないと行かねぇなんてな」

「うるせぇ、野球バカ!!」



綱吉の立ち直りに安堵のため息をつく面々。

そして骸は愛おしそうにぽつりと呟いた。

しかしその言葉は隼人の怒声によって見事に掻き消される。



「…悠南…

帰ってきたら真っ先にキスしてあげま「黙れ変態が!!」」



悠南が家出して翌日のボンゴレ。

綱吉の心を立ち直らせることに成功した。

すでに昼間だった時刻も夜に変わっていて。

隼人は一人、綱吉に心の中で願った。



十代目、明日の朝、なんとしてでも悠南を…

連れ帰って来て下さい…!!

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