[携帯モード] [URL送信]

Vongole Company
109
「俺がダメツナを連れてくる」

とリボーンが広間を出て行き、しばらくすると無表情の綱吉がリボーンの後に続いて広間に入ってきた。

そしてそのまま生気が抜けたかのようにソファーに近付き、重力のままにストンと座る。

あまりの変貌ぶりに隼人はもちろん、山本や骸もかける言葉が見つからず。

唯一、一人を除いては…



「おいツナ!

てめー悠南に何したか正直に言え」

「………」



リボーンの怒気を含めた声が響く。

しかしなおも綱吉は沈黙を守った。

ソファーに深く沈み込んだまま口を開こうとはしない。

見兼ねた隼人が慌てて綱吉に近付き、あわあわと口を開いた。



「わ、分かってますよ、十代目!

きっと悠南の方から何か怒らせるようなことしたんすよね?

それで十代目に怒られてふて腐れて家出を「違う」…え?」



隼人の言葉の途中に凛とした声が響き、言葉を止める。

その声は他でもない、先程まで生気を無くしていた綱吉の声だった。

それ以上悠南を悪く言うな、と言わんばかりに隼人を強く睨む。



じゅ、十代目がいきなり…?



隼人が驚くと同時にまたしても綱吉は口を開いた。



「悠南は悪くない、すべて俺のせいだ。

俺が学校退学なんて勝手に決めたから…!!」



自分に言い聞かせるかのように綱吉は言葉を続ける。

その言葉を広間にいた幹部たちは一言一句漏らさず聞いていた。



綱吉が悠南を怒らせた経緯、すなわち学校を退学させ使用人にすることを勝手に決めたこと。

それに悠南は怒って家出をしたこと。

すべての真実を聞いた広間の幹部はそれぞれに別の表情をしていた。



「そりゃ…

ま、言いづらいけどツナの責任…だな」

「野球バカ、てめぇ…!!

……ですがすみません、十代目…

俺も今回ばかりは十代目の行動には賛同しかねます…」

「…いや、いいよ、隼人

俺が悪いのが事実だよ」



山本は言いにくそうに、そして隼人もさすがに今回ばかりは綱吉に賛同はしなかった。

しかし扉に寄り掛かった骸、そして木椅子に座るリボーンも



学校退学させて使用人にして何が悪いんだ?



と若干疑問な表情。

雲雀がいれば確実に

「いつも悠南が見れて幸せじゃないか」

などと言いそうである。

つまりこの幹部たちは綱吉と同じ思想の持ち主な訳であり。

山本は苦笑いを零した。



「悠南の人生だからな、俺たちが勝手に決めちゃダメだわな」



その言葉に再び沈黙が訪れる。

しかししばらくした後、「…でもな」と低い声が響いた。

声の主は木椅子に座る帽子を目深に被った男。

目元の見えない彼の唇が動いた。



「…悠南がこのままいなくなっていいワケねーだろ」

[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!