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Vongole Company
101
「…じゃあ私、そろそろ部屋に戻るね」



ベルが沢田綱吉のところに戻るのかどうなのか、とか聞いた後から悠南はため息ばかりついた。

会話も盛り上がらず。

ただ沈黙の時間だけが続いた。



悠南はふらりと席を立ち、扉に近づいていった。

そしてキィと広間の扉をゆっくりと開け、悠南は静かに広間から出ていく。

フランはぬぼーっと暖炉を見つめた。











昨夜。

任務で遅く帰ってきたフランを待ち構えていたのは最も嫌いな先輩、ベルだった。



「ミーの部屋ですよ、不法侵入ですね、訴えますねー」

「うっせ」



ベルはフランの意見はどうでもいいと言わんばかりにヒラヒラと手を振る。

うわ、うざいですね、この堕王子ー

フランは表情には出さずにキレる。

ベルはフランの機嫌に全く気づかない様子でシシッと笑った。



「面白い女が来たんだ、明日会ってみろよ」

「女…ですか」



とにかく寝たいんですよ、ミーは。

女とか今はどうでもいいですね。

とりあえず「わかりましたー」とコクリと頷く。

そしてベルの背中をぐいぐいと押した。



「ミーは寝ないと死んじゃうタイプなので寝ますー、おやすみなさい」



バタン、と扉を閉めたはずだった。

なのに。



「シシッ、王子の話、まだ終わってねーし」



ベルが閉める寸前に足を挟み、再び部屋に戻ってきた。

そして自分の部屋かのようにドッカリとソファーに座る。

フランの額を冷や汗が伝う。

これは、もしかして。



「一晩中、その女について語る気ですかー?」

「よく分かんじゃん」

「低脳堕王子はわかりやす…ゲロッ」



ベルはナイフをフランのカエルに投げつけた。



ミーの睡眠時間はどうなるんですかー



目の前で語るベルを前にフランはボーッと思う。

ミーの睡眠時間削った女なんて知りませんー

















たしかにベルの言う通りの人だった。

美人ってわけでも、不細工ってわけでもない。

性格は馬鹿。



ミーはこの女のせいで睡眠時間なしになったわけですねー



広間で初めて悠南に会ったフランはあまり良い印象を彼女に持たなかった。

だが。

気づけば二人でユルユルと会話は続き。



すごく心外ですけど、なんか心地好いですー



とフランが感じ始めた頃だった。

ベルが現れ。

一気に悠南の顔は暗くなる。



白く汚れのない

百合の花に落ちた

一滴の雫に

すべて染め上げられたよう



最終的に悠南は広間まで出ていってしまい、フランはぽつんと一人残る。

パチパチという暖炉の薪の音。

フランのエメラルドグリーンの瞳は暖炉の色に染められ、赤く光っている。



あの堕王子…

今度会ったら死刑ですねー



フランが密かに心の中で誓ったときだった。



「なっ、えっ、はい?!」



悠南の叫びが玄関方向から聞こえる。

フランは音の元凶に目を向けた。



…まったく騒がしい先輩ですよねー

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