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Vongole Company
094カス鮫とボスさん
「とりあえず一泊する悠南だぁ」



スクアーロさんは私の肩に手を置きながら言う。

私はボスさんの顔を直視出来ずにボスさんの後ろにある大きな窓から外を眺める。

時刻はもう深夜。

暗く吸い込まれそうな夜空が広がっていた。

瞬く星。

嗚呼、大自然って素晴らしい…!!

と思いたいんだけれども。

ボスさんの「てめぇ殺すぞ、あ゙?」という視線があるため私の脳は麻痺している。

硬直する私にスクアーロさんは私の背中を小突く。

名前言えってか、え?

私は目線を一切合わせずに自己紹介をする。



「神崎 悠南と言います、一応女です、平凡な子です、ちなみに嫌いな食べ物はピーマンです」

「何言ってんだぁ、お前!!

殺されるぞぉ!」



スクアーロさんが隣で目を見開き突っ込む。



しょうがないじゃないか、勝手に私の口が喋ったんだもの…!!

パニックに陥ってなんたらかんたらだよ、うん

それより最後の殺される、という単語は聞き捨てならないんだけれども!

私、さっさとここから出たいんだけれどもっ…!!



目の前のボスさんが机の上に放置されていた万年筆を手に取る。



「…出てけ」



そう言い、万年筆をヒュッとスクアーロさんに投げ付けた。

スクアーロさんの額に見事命中したらしい。



「いてぇぞ、クソボスがぁ!!」



とスクアーロさんが叫ぶ。

スクアーロさんの叫びを聞きながら私はそそくさと扉へ向かった。

私が出てけ、ってことだよね、うん



「じゃあ失礼しま「ドカスが」…は?」



無駄な殺気が立ち込める部屋をさっさと出ようと扉を開け、頭を下げれば。

私の言葉にボスさんの言葉が重なった。

は?と私が頭を上げればボスさんは座ったまま



「出てくのはテメェだ、カス鮫!」



と紅茶の入ったカップをスクアーロさんに投げつける。



「俺かぁ??!」



紅茶を長い銀髪に滴らせながらスクアーロさんは目を丸くする。

扉の前に立つ私と自分を交互に見比べ自分を指差す。



「分かったらさっさと出ろ、カスが!」



ボスさんの言葉にスクアーロさんは扉前にいる私に近付き

「がんばれよぉ」
と彼なりの小声で私に声をかけ、扉を開ける。



え、ちょっと待て。

なぜこの恐ろしいボスさんと二人きりにぃ??!



スクアーロさんの腕を掴もうとするも、もう彼の長い銀髪が扉に吸い込まれていて。

バタン!

荒々しく扉が閉まり、私は硬直したまま背後の扉を見つめる。

動かない私。

目の前のボスさんの姿はなるべくなら見たくない…!!

しかし私の願いは見事に打ち砕かれ。



「こっち来い、女」



ボスさんのお声が掛かり、私はなんとか首を前方に向け重い足取りで前へ進みはじめた。



ボスさんに近付くたびに寿命が縮んでいる気がする…!!

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