Vongole Company
089
「シシッ、悠南は王子たちのもんになったから♪
じゃな♪」
リボーンが説得を試み、悠南からの返答を待っていると。
悠南とは似ても似つかない、人を少し小馬鹿にしたような声が受話器から漏れてくる。
思わず耳を離したリボーンがすぐに平静を取り戻し、再び受話器に口を近付け
「おい、悠南!」
と叫ぶも耳に入ってくるのは既に…
ツーツーツー…
という哀しい機械音。
パチン!
リボーンは荒々しく携帯を折り畳んだ。
獄寺がすぐに怒りを込めた口調で口を開く。
「今のって…
ヴァリアーのベルフェゴールだよな」
「あの笑い方といい間違いないね」
雲雀が即座に反応し、右手中指のボンゴレリングを握りしめる。
リングはすぐに熱を帯び、紫色の炎が燃え上がった。
「咬み殺しにいってくるよ」
ツカツカと扉へ急ぐ雲雀。
しかし雲雀が部屋を出る前に山本が叫ぶ。
「なぁ、待とうぜ?」
全員の視線が山本に集まる。
すると山本はニカッと笑い、驚くべき発言をした。
「明日までとりあえず待たねぇか?
ヴァリアーにいることは分かったんだし」
「ワォ、悠南をヴァリアーになんて放置しとくわけ?」
君から咬み殺そうか、とトンファーをどこからか出し構える雲雀。
リボーンや獄寺も頭大丈夫か、お前という感じで山本を見る。
しかし山本の意思は変わらず、真剣な顔つきに変わる。
「今まで俺ら、悠南を振り回しすぎやしなかったか?
悠南にも自由は必要だぜ?」
一斉に気まずそうな顔をする幹部たち。
特に雲雀とリボーンはやれ朝に起こせだの、やれキスしちまっただの、いろいろと思い当たる面があるため、罰の悪そうな顔をする。
雲雀はトンファーをサッとしまった。
「だから…な?
悠南のことは、今日だけヴァリアーに任せようぜ」
やたらと今日だけ、を強調し山本は笑う。
雲雀やリボーン、獄寺も不服そうな顔をしていたものの、自室に戻っていった。
最後に山本も広間から出ていくと、京子とハルは二人で顔を見合わせる。
そして二人で何やら話し込みながら広間を後にした。
「ハルちゃん、何持ってこっか?」
「そうですね、お菓子はかかせませんよね!」
「イーピンちゃん達にも言おっか!」
「はい!」
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