アレルヤ(ハレルヤ)で20のお題 10/ごめんね。/きよ ひとを好きになる、というのは僕が初めて抱く感情だった。今までの僕は平凡でこそは無いけれど、ひとと関わることのない孤独な環境にいた(其れすらも忘れかけていたけど) ――…コツコツ、コツ すっかり聞き分けられるようになってしまった足音が僕の前でピタッと止まる その間僕はうつ向いたまま。 一呼吸置いて、 「アレルヤ」 僕の大好きな声がじんと胸に響いて、僕はやっと声の主の方へ顔をあげる 自然と笑みが溢れてしまいそう 声の主のロックオンは柔らかい笑顔で、いつでも僕の心を受け止めてくれる。 凄く悲しいとき、嬉しいとき、寂しいとき、どんな時にでも自然と側にいてくれている それが、どれだけ僕の心の支えになっただろうか 「最近は、眠れてるか?」 「ええ…おかげさまで、もう大丈夫です」 「そうか。よかった」 「心配かけてすみません」 ロックオンはやっぱり温かな微笑みを浮かべて、僕の頭をわしゃわしゃと撫でた 嬉しい、反面胸が痛い だって、こんな平穏な時間は、あっという間に大きな音を立てて崩れさっていってしまうのを僕は知っているから (そう言うと彼は決まって“崩さなければいいだろ”と不安を拭ってくれる) あなたは催促なんかしなくても、僕の欲しいものをくれるから僕の心の壁も、ぐらり、揺れる (その心が欲しい、欲しくない。僕に留めたい、留めたくない) 僕たちは、中途半端な関係をだらだらと続けていく 例えば好きだ、と言われればいくら僕があなたに好意を抱いていたとしても素直に縦に頷けやしない(もう彼の事を好きだって自分で気付いているのに) 例えば唇があなたと触れたとき、僕は何を感じるのか分からない 「(嫌だ、とも良いよとも言えない)」 それでも、いいですか? あなたのように 好きだという証拠ひとつあげることが出来ないのに。 「…アレルヤ?」 じっと黙りこんでうつ向いた僕を心配してかロックオンが声をかけてくれる あなたの手が僕に触れる ばっちりと合ったその瞳から、ロックオンは真剣に心配してくれているんだと感じる 僕は彼に心配をかけてばっかりだ せめて三文字 伝えたい言葉が素直に出てくれば良いのに。 「…暖かい」 たった三文字の言葉を伝える事を恐れている僕は、ロックオンが僕に触れる手を握り、それだけ言った 「無理しなくていいんだぜ?」 「でも…ごめん、ね」 ありがとう 大好き。 今は伝えられそうにないけれど、いつの日か必ず言うから。その時まで何も壊れませんように 僕は、我儘 (だからごめんなさい。) [*前へ][次へ#] |