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めいん












(あれは、たしか)




本来なら何も見えないくらいの闇の中。

しかし彼女はその尋常ならざる夜目を利かせると船のすぐ近くにいる人物を特定することさえできた。



そこにいたのは、
一言でいえばかなり嫌な人間。



「こんな所に……!
下劣な海賊め、船場など隠しても無駄なことを」



あぁ、あの時の名も知らぬ海兵さんではありませんか。



アイリの脳裏に焼き付いている、最後のクライアントであり、


アイリを見捨てた張本人。



この船が見つかった以上、増援を呼ばれては何かと厄介であると即座に判断する。



相手が夜目が利かなかったことが幸いだった。



彼女は綱もなしに軽やかに降りる。


男の後ろへ回り込むと、まずは『こんばんは先日ぶりですねさようならもう会うことはないでしょう』




ゴキリ。



優しく、労り慈しむようにその首をへし折った。



アイリの一番楽な方法だ。



時間がないときはこれが一番だな


なんて笑みを浮かべて死体は遠く、遠く海に流す。
電々虫はもちろん破壊。



これで証拠も何も残らない。

哀れ、海兵になりたての男はとある夜に突然原因不明の失踪をしました。



指に伝わった骨が折れて死ぬアノ感覚がおかしくて、つい笑う。



あぁ間違えた。

脳内で勝手につくったシナリオがおかしかったんだよきっと。



どっちも面白い、だなんて狂ってるからね。




『ふふっ、ひゅひひっ』



少女は目を細めて、粘性の強い笑みを浮かべた。



(ロー、早く帰ってきてくれないとわたし壊れる。ああもう壊れてるけど、なんてね)














 

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