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めいん
















「アイリ、飯は食えるか?」



あれから、とっくに日は暮れたというのに彼女はまだ口を開かずにいた。

キャスケットが出来る限り優しく接した。



全く反応を示さないアイリの側に根気強く居て、話しかけ続けてくれた。


そのおかげか、彼女はようやく頷いたり首を振ったりと反応するようになった。



死人みたいだった目も幾分か光を取り戻したように見える。



彼女は少し遅れたタイミングで首を横に振る。



食べたくない。否定。



彼は、腹減ったらいつでも言えよ とアイリを咎めもせずに頭を撫でた。



それからその白い胸にある赤い傷を見つめてから口を開いた。



「しっかし、お前って船長みてぇな無茶するんだな」

『………ロー、みたい、な?』



あまりに長い間言葉を発していなかったせいか、鈴のような彼女の愛らしい声は少し枯れていた。



船長の話を出したのは正解だったか と胸中で呟いてキャスケットは続けて話す。



「あの人も、なんか面白くないことがあったり不安だったりすると自傷行為に走るんだよなー。

死んだらどうするんだってな」



血が出るまで爪を噛んだり、はたまた手だったり。

泳げないくせして海に飛び込むし最悪の場合はリストカットに走るとか。


どれにしても質が悪いと彼は静かに苦笑いをした。



彼女はその話を、2つのガラス玉みたいな目でキャスケットを見つめながら聞いていた。



ちょっとだけその話に眉をよせた彼女。

心配させたかと彼は思い、それ以上言うのは止めておいた。



彼女の本音は、一回死ねばいいのに だけれど。














 

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あきゅろす。
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