めいん
3
わたしは、戦闘用奴隷NO.119こと通称アイリ。
人を殺して、または性欲処理に使われ金を作るために海軍の下で製造された人工遺伝子。
感情はない。
だけどそれも、今や昔の話。
わたしはハートの海賊団の一味アイリ。
仲間がいて、みんなやさしくて暖かい。
そして、何よりも。
隣にローがいてくれるから。
頑張れる、のに。
『ロー?』
貴方がいない。
貴方はいない。
彼女が、いつも通りに日の出と共に目を覚ました時に彼はもう居なかった。
昨夜に宣告したとおり、どこかへ行ってしまった様だ。
自分が寝ていた場所以外の布団に手をあてても冷たく、温もりはない。
ローが出ていったのは大分前の時間なのだろうと推測できた。
会いたい。
まだおはようと言ってないよ?
まだローのことを知らないよ?
まだ一緒にいたいのに。
ロー。
あ い た い。
『こんなもの、消えてしまえ』
少女は悩ましげな涙を流し、自分の胸にギリリと爪を立てた。
まだ、彼女の朝はこない。
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