[携帯モード] [URL送信]

めいん










敵船から聞こえてくるのは、あまりにも聞くに耐えない悲痛な叫び声。


アイリが一思いになど殺さずにいたぶって、遊んでいるであろうことは一目瞭然だった。



「これ、きっと援護しなくていいですよね」

「多分な」



そう言いつつも万が一を考えてキャスケットとロー、それからペンギンの3人はそれぞれの武器を構えたままだった。




突然。

時が止まってしまったのかと錯覚してしまうくらい一斉に悲鳴がぴたりと止んだ。



それも複数の人間が叫んでいた筈なのにそれらがすべて同時にだ。



クルーたちは不思議そうに互いに顔を見合わせる。



しかし止んだ悲鳴の代わりにローが聞いたのは、「歌……?」。




鮮血と悲鳴が飛び交う敵船から聞こえてきたのは、場面に似つかわない澄み切った歌声だった。



その声はどこか弾んでいて、上機嫌な子供が鼻歌を歌っているようなものに近い。



ローは、もうそこまで近くにきた敵船にロープを引っかけアイリの元へ急いだ。



クルーたちには残るように と釘を刺してから。




甲板に降り立ったローが見たのは、一面の花畑だった。




『♪、…♪♪……♪っ……』



白い少女は、円を描くように花畑の上で狂い踊り咲く。



『ひゅひっ、ひひは…あははひゃ……えーあぁっひゃあぁあああははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっ!!!!!!!!!!!!!!!』





やがて止まったその歌は、絶叫にも似た笑い声と変わった。













 


[*Back][Next#]

7/10ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!