めいん
4
『××したい』
「え?」
あまりに不穏な響きを孕んだアイリの言葉に、脳が無意識にモザイクをかけた。
しかしアイリはただひたすらに、水平線の彼方を愛おしげに見つめながら淡々と口ずさむ。
手摺によりかかる。
生ぬるい微風が、アイリの髪をいたずらに梳いた。
長い銀の髪が揺れて、なびいて。
それは太陽の光を受けて、まるで金の麦穂畑のようにも見えた。
『××したい××したい、××したい、××したい、××したい、××したい、××したい、××したい、××したい、××したい、××したい、××したい』
『ころしたいなぁ、みんな』
キャスケットは、完全に聞き取ってしまった言葉を咀嚼すれことができなかった。
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