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めいん










「待てこら!!!!!!」



長い廊下を走り回っていた時だった。


コックのその言葉を合図としたかのようにアイリはピタリと足を止めた。



危うく彼女に当たりそうになった包丁をキャスケットが弾く。


彼はアイリの奇行に怒鳴ったが、彼女は甲板の方向をただ一点に睨みつけていた。




先ほどのコックの言葉を、命令として受理したのだろうかと考えもしたが 直にアイリが口を開いた。



『キャスケット、一緒に外に来て。料理長は船員の皆さんを連れて来てください』

「どうした」

『声。怒号がする。たぶん海賊が、いる』

「……分かった。コック、頼む」



3人の表情から笑顔が消え去り、キャスケットの眼も鋭いものに一転した。


コックは黙って頷くとみんなのいる食堂へ走っていった。



アイリとキャスケットも、甲板へと急いで向かうのだった。














しかし、甲板に出てみても何も見当たらない。

キャスケットが首を傾げてみると彼女は無言で水平線の彼方を指差した。



そこにあったのは、目を凝らさねば見えぬような小さな黒い点。




『進路はこちらに向かってきてる。あと5分くらいで交戦するとおもう』

「どうして分かった?」



彼はおどけてに口笛を吹いてみせた。


しかし彼女は何でもないことかのようにさらりと言い退ける。



『わたし、人工遺伝子だから、普通より強化されて作られてる』

「なるほど。距離はわかるか?」

『2時の方角に……だいたい400m弱』

「よし、わかった」




彼女は、いつになく真剣なキャスケットの表情を見た。


口元に笑みを浮かべず、ただ間一文字に唇を閉ざす彼はまるで別人だった。











 

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あきゅろす。
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