[携帯モード] [URL送信]

めいん



















「あ、キャスケット、アイリちゃん。お帰りー」

『ただいま、ベポ』

「………………」




帰る時。



もっと高い方がいいだの。

揺れが大きい。乗り心地が悪いなどと野次を飛ばしていた少女は、愛らしい白熊の前では堂々と猫を被ってみせた。



そのお陰でキャスケットは肩の痛みが半端じゃない上、彼女の豹変ぶりには言葉を失った。



「こんなに朝早くからどこ行ってたの?」

『キャスケットと一緒にお散歩だよ。………ね?キャスケット』

「あ、うん。ハイ。お散歩に行って参りました」



楽しそうな表情で、散歩についてベポに語る少女。



キャスケットはあくまで本当に小さく「猫被り」と呟いた瞬間、アイリは彼の脚を踏みつけてやった。



キャスケットは声にならない悲鳴をあげてそこら中を転げ回る。

ベポは、全くもってわからないといった顔で首を傾げるのだった。



そんな彼はさておき。

ベポは思い出したと言わんばかりに手を叩き、アイリに向かってこう告げた。



「あのさアイリはキャプテン起こして来てくれる?
おれ、ちょっと洗濯物取りに行かなきゃだめなんだ」

『…………えぇ…?』




思わず本音が出た。


その答えにベポは微苦笑せざるを得なかったが、そのまま甲板へと出ていってしまった。



アイリは仕方なく船長室へと向かおうとするが、その前にキャスケットからの忠告というか警告が入った。



「寝起きの船長には気をつけろ」




なんだか嫌な予感がした。











 

[*Back]

10/10ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!