めいん
6
「いたっ!!いででででで!!?
ちょ、やめ……止めてーっ!」
『どうか安らかに』
「不吉なこと言うな!」
半裸の状態にいた男を十分に痛め付けてから、服を着させる。
男は「おれのほうがセンパイなのに」などとぶつぶつ文句を言っていたのは全て無視した。
アイリは小さなため息をついて、その男に向かって言い放つ。
『何がきゃあー、ですか。
そんな矮小なモノ見てもこっちが逆に虚しくなります』
「誰が矮小だ」
青年は嘆いてから、サングラスをかけて帽子を被った。
キャスケット帽を。
『あ。昨日の、ひと』
「ピンポーン。
その名もロー船長の左腕、キャスケットでーす」
ぱー と両手を開いて、子供をあやすように屈託のない笑顔を向ける彼。
帽子を被って、ようやく気付く。
『“全おれが船長に失望した”人でしたよね』
アイリが、そう言い退けると彼はカラカラと楽しそうに笑った。
「そう。その人!
で、船長どうだったよ」
『意外と優しかっ、た、よ』
さらりと微笑を含ませて答えれば、そうかそうかとやはり笑う。
彼のその明るいテンションには合わせずらいものの、どこか気分は楽しくなってくるものだった。
アイリはペンギンに言われた通りに、途中突っかかりながらも敬語を取って話す。
ふ と、キャスケットは時計を見て「外に散歩にでも行かないか」と提示した。
アイリは少し悩んだが、断る理由もないので2つ返事で了承した。
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