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めいん









「アイリ」



突然、名前を呼ばれて肩を震わせた。

彼はまだ枕に顔を沈めているままなので表情はうかがえなかったが眠たそうにしているのは確実だった。



「アイリ」

『何でしょうか』



掠れた声と、弱々しい姿に思わず笑みが漏れてしまう。


しかしいつまで経っても返事が返ってこない。



アイリは首を傾げてもう一度、何でしょうか。と問うた。



けれどやっぱり彼からの返事は貰えなくて、アイリは痺れを切らしてローの顔を覗きこんだ。




そこにあるのは、彼の無防備な寝顔。




初めて見る帽子を外した時のロー。


短い髪は淡い闇の色。
閉じられた瞳。
整った精悍な顔立ち。
すらりとした綺麗な長い指。
細い腕の刺青。
上下に動く、適度な筋肉がついた胸。



胸が、顔が熱くなるのをアイリは感じた。




どこか調子が悪いのかと思っても原因はまったく分からなかった。




「アイリ…
安心しろ……お前は、おれが守ってやる…から」



心臓が大きく跳ねた。



どきんどきんと 自分の存在を主張するかのように暴れまわる心臓に彼女は戸惑いを隠せなかった。



呼んでいたんじゃない。
この男は、夢を見ているのだ。



夢とは、主に本人が強く想ってることやこの先に起こる何かをシックスセンスの一部として受け取るものだと聞いたことがある。



彼が、わたしのことを強く、想ってくれたのだろうか。



そんな期待を抱いてから、馬鹿馬鹿しいと言って自嘲した。




しかし、ゆっくりとした睡眠と寝起きは今までの何よりも嬉しかった。














 


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あきゅろす。
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