めいん
6
アイリがわざとらしく、そのセリフを大声で喋ったその時だった。
ベポとキャスケットとペンギンたちがドアを開けたのは。
『わたし、恥ずかしい…みんな見てる……』
「な、「せせ、せ船長?」
一番に声を張り上げたのはキャスケットだった。
おれは慌てて弁明しようとするが彼はただ、がたがたと取り乱していた。
「船長っ!
そんな、船長がそんなに手癖が悪いと思わなかった!」
「まてキャス……」
「キャプテンの狼さん!」
追い討ちをかけるようにベポは叫ぶと、泣きながら船長室から走り去っていった。
熊に狼と言われるとは。
「絶望した!全おれが船長に絶望した!!!!」
キャスケットも訳の分からないことを言うと、とっとと走って行ってしまう。
残されたのはおれとアイリとペンギン。
しかしペンギンも同じように、軽蔑の一瞥をよこすと無言のまま居なくなってしまった。
ギィ と古びた木のドアが悲鳴を上げて閉まる。
下にいる少女は、ただにやにやと嫌味ったらしく笑うだけだった。
息を吸い込む。
酸素を貪欲に貪り、肺の奥まで満たす。口角には自然と笑みがもれたほどだった。
唇を開いて、さぁ。
「ふっっ………ざけんなぁああああああ!!!!!!!!」
思いきり叫んだ。
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