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めいん















あーあ、なんてザマだよ。



もう何度自傷したことか。




アイリちゃん。
彼女が死んでローが破綻したすぐに、おれは暫く船を空けていた。



ただ朝から晩まで酒を飲んで。

自分でも何年ぶりかわからなくなるほど酔いつぶれたのは、つい先日のことだ。




娼舘やらそこらの女やら。


適当に声をかけては飲み合ったり身体を繋げたり。



まぁつまりほとんどは酒とセックス三昧だったっていうことさ。



あっははは、笑えねぇ。



んで、現在は大分昔に止めたはずのリスカに走っているわけでありまして。


ミミズ腫れどころか目も当てられないくらいにぐっちゃぐちゃになった手首に視線を落として、もう一度酒をあおった。




酔いが回って体温が高くなったせいなのか、いつもより多い出血量に満足。



赤い血が床に垂れる前に舌で掬い上げて舐めあげて。

その生ぬるく、しょっぱいのか旨いのか不味いのかわかりにくい味に辟易しながらも口に含み続ける。




別に、死にたいとか人生どうでもいいとかって自暴自棄になったわけではなかった。



彼女とは
あくまで知り合っていた時間は1日もなかったし、そんな薄っぺらな関係の人間に事故投影するほどお人好しじゃあない。



はず、だった。







だが、おれにとって彼女はあまりに眩しすぎたのかもしれない。




分かりやすく言えば、まぁ一目惚れだった。


あ、ローには秘密ね。
マジで殺されるから




それに、おれが惚れたのはあくまで“ローに一途に惚れているアイリちゃん”だからねぇ。



らぶの方じゃなくて、生きざまとかそーゆーの。
おれも良くわかんねぇ。




でも“あぁ何かいいな”って思えたんだ。




おれには絶対にこんな生き方はできないから。だからまだ若いのに一生懸命な彼女の姿が輝かしくもあり羨ましくもあった。






だからこそ、おれは彼女を心から救いたかったのかもしれない。


今となってはもう手遅れだけどさ。






脳裏を血の臭いと彼女の死体になった姿が駆け回り、自然とグラスを握る力も強くなってしまい。



パリン、だなんて陳腐な音を立ててわれたグラスを見て。


その破片で更にズタズタになった手の甲を舌でなめた。










彼女の代わりに、
おれが死ねたらなぁ。








どんなによかったことか。


















 

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